ICT技術解説[第6回]モバイルアプリ開発を効率化する切り札「MEAP」と「BaaS」を徹底解説

企業がスマートデバイス活用をさらに深化させるうえで、重要なキーワードとなるのが「MEAP」と「BaaS」だ。従業員や顧客向けのモバイルアプリを効率的に開発できるようになる。

3.MEAPとBaaSの基本構成


マルチプラットフォーム対応やバックエンド連携を容易にするMEAP(MADP)

MEAP(MADP)はフロントエンドのアプリケーション開発を迅速に進めていくのに役立つツール群から構成されている。一般的には、単独のOS環境をサポートする開発ツールとは異なり、MEAP(MADP)は3つ以上のモバイルOSをサポートしている製品のことを指す。図表1にアプリケーション開発の中でMEAP(MADP)がカバーしている範囲を示す。

図表1 モバイルアプリ開発の流れとMEAP(MADP)の関係
モバイルアプリ開発の流れとMEAP(MADP)の関係

実際に出回っているMEAP(MADP)はこのうちのいくつかをサポートしており、すべてを網羅しているわけではない。例えば、プリビルドアプリを豊富に提供している製品もあれば、提供していない製品もあるといった具合だ。

これらの機能のうち中心となるのはマルチプラットフォーム対応のSDKだ。モバイルアプリをゼロから開発しなくても済むように各種テンプレートも用意されている。また、SDKは、オープンソースの統合開発環境(IDE)であるEclipseベースのプラグインになっている製品が多く、iOS、Android、Windows Phoneなど向けの各アプリケーションを、HTML5、JavaScript等の標準技術を使って開発できる。

MEAP(MADP)のもう1つの重要な機能としては、バックエンドとの連携の簡易化も挙げられる。従業員向けのモバイルアプリの場合、既存の基幹システムなどとの連携が重要になるが、MEAP(MADP)ではそれを容易に実現するアダプタが提供されている。

バックエンドのサーバ機能を提供するBaaS

BaaSは、モバイルアプリの開発および運用に必要なサーバ側の機能をAPIで提供している。その機能の一例を図表2に示す。

図表2 BaaSで提供される機能の一例
プッシュ通知 スマートデバイスに対してブラウザやアプリケーションからプッシュ通知を送信する機能
データストア アプリケーションで利用されるデータを保存・共有することができるデータベース機能
位置情報検索 データストアにスマートデバイスのGPS機能で取得した位置情報を保存する機能
認証・会員管理 ユーザー登録を行い、ログイン認証を行うための仕組みを提供
SNS連携 FacebookやTwitterのアカウントを使って簡単に会員登録できる仕組み

このようにBaaSを活用すれば、DB操作・メール配信・認証などのバックエンド処理を行うためのサーバを自身で用意する必要なく、クラウドサービスとしてAPIを介して利用できるようになる。BaaSの導入メリットは以下のように整理できる。

・サーバサイドプログラミングが不要になり、アプリケーション開発の初期コストを削減できる
・同時にアプリケーション開発期間を短縮できる
・サーバ機能に精通したプログラマがいなくても業務アプリケーションを開発できるようになる
・バックエンドのサーバ機能は堅牢なデータセンタ内で運用されているので可用性が高い
・APIリクエスト数、プッシュ通知数、ストレージ使用量など、実際に使った分で使用料金を支払うことで、運用コストも節約できる

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