ユニファイドコミュニケーション(UC)の導入・構築の現場ではどのような課題が生じているのか。前編「クラウド型UCの導入前に知っておきたい3つの課題」では、クラウド型UCサービスを導入する場合を例に、ID管理/認証基盤の統合、IMのログ管理、トラフィックの把握という3つのポイントを整理した。
これらの重要性は、オンプレミス型のUC構築でも変わらない。多様なUCアプリケーションを統合的に利用するためには、統合ID・認証基盤が不可欠だ。また、新たなツールであるIMのログ管理も、コンプライアンス強化、セキュリティ対策の観点から必須の要素と言える。
そして何よりUCの品質や使い勝手に直結し投資対効果を左右するのが、UCを下支えするネットワークインフラだ。ビデオやチャット、社内SNSなど、企業コミュニケーションで用いるアプリケーションが多様化、さらにスマートデバイスの普及や企業内で無線LAN環境を構築する動きも相まって、UCを支えるネットワークインフラの作り方も複雑化している。
今回は、無線LAN 環境下でのUC構築を中心に、その実態と課題、対策をまとめる。
ビデオの利用が焦点に
高品質なUCを実現するためのネットワーク構築のポイントは、まず音声通話とビデオのリアルタイム系コミュニケーションツールの品質を担保すること、そしてこれを無線LAN環境下でどう実現するかの2点だ。
ユニアデックス・システムマネジメントサービス事業本部システムサービス第三統括部ネットワークソリューション二部・課長の岩崎世行氏によれば、「広帯域なネットワークを作っているから心配ないと既存のまま導入する場合もありますが、音声の場合はそれほど問題はなくとも、ビデオを乗せると問題が出るケースが多々あります」という。
そこで同社では、UC製品の導入前のトライアル・検証時に、ネットワーク環境についても入念なサーベイを行うことを推奨している。パケットロスや遅延等を調査してコンサルティングを行うなどのUC 導入前に必要な調査や対策をサービス化することも検討中だ。
特に注意が必要なのが、コメントにもある通りビデオを利用する場合だ。他のSIerも、「音声については要求品質も下がっており、問題となるケースは少ない」と話しており、代わって、使用頻度が高まっているビデオの品質をいかに高めるかが、UC構築時のポイントになっている。
そして、最近のUC構築で見逃せないトレンドが、無線LAN環境下での利用だ。スマートデバイスやノートPC等を持ち歩けば、社内でも場所を問わずにコミュニケーションを行えるという点をメリットにUCを訴求するケースが増えているが、そうした環境を支えるネットワーク構築は決して簡単ではない。
三井情報でUC構築を手掛けるIT基盤技術本部クラウドサービス技術部第三技術室・室長の杉山義清氏は、「UC でニーズが高いのがモバイル。WiFi環境の実装がやはりポイントになります」と話す。