軽さと扱いやすさを満たしたiPad Airを選択
従来、ロビースタッフが持ち歩いていたのは紙資料の束だった。質問されることが多い支店情報や取引手数料の一覧、必要書類についての資料などをそれぞれの経験に基づいて整理して活用しており、資料の更新頻度などに関する統一されたルールは設けられていなかった。
「ロビースタッフは窓口の外側で勤務するため、通達の回覧にも気付きにくい環境です。このため、日々の業務に追われるなか、古くなってしまった資料をそのまま使い続ける恐れもありました。そこで紙資料ではなく、タブレット端末を使うことを考えたのです。資料をオンライン化して一元管理すれば、全スタッフが同じ最新の資料を使って対応できるようになります」(砥綿氏)
タブレット端末の選定にあたって、最も重視したのは軽さだった。ロビースタッフは女性中心で、業務時間のほとんどを立ったまま過ごす。女性が1日中持って立っている必要があるとなれば、百グラム程度の重量差も大きく響いてくるからだ。比較検討を行なっていた2013年夏の時点で最も軽く、有力候補となっていたのはAndroid OSを搭載したタブレット端末。しかし検討中にiPad Airが発表され、情勢は大きく変わった。
「ロビースタッフの中にはIT機器に詳しくない者も多いので、iPadの使いやすさは魅力でした。プライベートで使っている職員も多いので、ロビースタッフが操作に迷っても支店内で教え合えます。ただ重量が気になって選べずにいましたが、iPad Airは前モデルより184グラムも軽い478グラム。これならiPadを選ぶメリットが大きいと判断しました」(戸野川氏)
選択したのは、iPad Air Wi-Fi + Cellularモデルだ。支店には業務用の無線LAN環境がないことから、3G/LTEでどこでも通信できるCellularモデルを選んだ。
iPadを取り扱う通信キャリアは1つではなく、それぞれから提案を受けたが、最終的に選んだのはKDDI(au)である。つながりやすさとともに、「ビジネスパートナーとしての信頼感を感じたのが大きな決め手になりました」と、戸野川氏は選定理由を語ってくれた。
「東京から営業担当者が来るのではなく、地元に根差した支店から、地域のビジネスをわかっている営業担当者が来てくれるのが心強かったですね。フットワークがよく、タブレットなどに精通していないロビースタッフ向けにホーム画面をシンプルにするなどの課題に対して、早い段階でプロトタイプを作って見せてくれるなど、こちらの要望に熱心に応えてくれるKDDIなら、導入後も頼れるパートナーになってくれると感じました」(戸野川氏)
検討当初は、業務で使う資料をWebブラウザで閲覧するといった漠然としたイメージしか抱いていなかったという戸野川氏らだが、実際に導入環境のプロトタイプに触れることで具体的な利用イメージを抱くことができ、導入に向けた取り組みを一層進めやすくなったという。
現場のノウハウを集約したポータルサイト
iPad Air向けに作成したロビースタッフ用ポータルサイトは、いわば業務視点でまとめられたショートカット集だ。
事務指導を担当するグループが、現場のノウハウを集約。支店一覧や手数料一覧、取引に必要な書類など、顧客からよく聞かれる内容について、すぐに目的の情報にたどり着けるよう整理した。また、ポータルサイトにはキャンペーン情報を掲載するスペースも設け、期間限定の取引特典や新商品に対する質問にもスムーズに答えられるようにした。タッチパネル操作を考慮し、見やすく大き目のリンクボタンを配置するなどの工夫もこらしている。
顧客には、iPad Airの画面を示しながら説明することを基本的に想定しているが、資料を印刷して渡した方がよい場合もある。そこで無線LAN接続に対応したプリンターも別途調達し、各支店に設置した。iPad Airとプリンター間は、ルーターを介さずにダイレクトに接続できるため、支店に無線LAN環境を用意することなく利用できる。
ロビースタッフへのiPad配備により、顧客対応のスピードアップなどが期待されている(写真はイメージ) |