――2013年は「フレッツ光」の契約数1000万突破が大きなトピックでした。
山村 1つの節目である「光1000万契約」を早期に達成し、次のステップに向かおうと考えていました。とはいえ、2011年頃からモバイルの浸透と競争の激化もあって加入者の伸びが鈍化してきたので、2012年3月の「にねん割」に続き12月に「思いっきり割」と大胆な料金プランや新規加入促進キャンペーンを相次いで展開してきました。
その結果、販売面はもちろん、2013年に入ってからは既存のお客様の「解約」抑制にも徐々に効果が現れ、目標を達成できたことで非常に意義のある年だったと思います。
――2013年度中間決算は「減収増益」でした。割引キャンペーンは契約数の増加に貢献していますが、同時に減収要因にもなっています。
山村 確かに光の販売増や解約抑制に効果が現れている一方、収益は減少しています。今年度は中間期以降、割引施策による減収が大幅に利いてくることはもともと想定していました。上期は160億円の増益だったにもかかわらず、通期業績予想を昨年と同じ650億円に据え置いたのもそのためです。
収益構造の内訳を見ると、音声伝送収入の減少率は縮小していますが、割引施策の影響でIP関連収入の増加率も縮小しています。そうした中で増益を達成できたのは、コストコントロールをやりきったからです。
フレッツ光の提供エリアが2013年度末に99%と基盤がほぼ完成したことで、設備投資額もピーク時の4600億円から今年度は3500億円まで抑えています。併せて、営業の効率化の取り組みもだいぶ定着してきたため、収入の落ち込みをカバーし、収益を確保することができたと考えています。
ここ数年は「音声とIPで収益をプラスに」を合言葉にしてきましたが、音声通話が減少し、IPも割引施策の導入により、基本料金だけで収益を拡大することは厳しいと言わざるをえません。かといって、コスト削減にも限界があります。フレッツ光における付加価値サービスなど新たな取り組みでARPUの向上を図るとともに、社長就任時にお話したように、通信収入とSI収入以外の「第3の収益源」を早期に作り上げることが必要で、昨年来さまざまなことにチャレンジしています。