導入決定後、新システムの構築は大きく3段階に分けて進行した。
OCS 2007とOffice Communicatorを08年7月に運用開始した後、9月末から本社・各拠点の電話システムをシスコUCMを核としたセントレックスシステムに順次刷新(図表2)。スタッフがOffice Communicatorの使用に馴染み、新システムの運用が落ち着きを見せた12月、ボイスメールを導入した。
図表2 システムの全体構成 |
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プレゼンスと携帯転送が好評
電話の利用法の変化(クリックトゥコールなど)、プレゼンス表示やIMといったツールの導入と、新システムでは従来から大きく環境が変わった。社員の戸惑いも予想されるところだが、大きなトラブルもなく浸透。その効果もすでに出始めている。
「チャットやメッセンジャーを使い慣れている人はOffice Communicatorにほとんど違和感を覚えないようだ。それ以外の人も周囲の様子から、電話する前に相手の在席が確認できたり、クリック操作で電話をかけたりといった便利さをすぐに理解して、順調に利用が広がっている」
管理本部ITグループの古屋富裕氏は、現在の運用状況をそう語る。IMの利用はまだまだだが、「特にプレゼンスの効果は大きい。従来は代理応答、電話取次ぎが頻繁で業務に支障を来たしていたが、それも改善した」(同氏)という。
外勤中のコミュニケーションにもOffice Communicatorは有効だ。ユーザー自身で転送の設定ができ、外出時には内外線の着信を携帯電話に転送するよう設定できる。電話を掛ける側は相手の所在を意識せずとも、たとえ内線のつもりで掛けたとしても、携帯電話でどこでも連絡が受けられる。この機能もかなり好評のようだ。
唯一の課題は「教育」
一方、ボイスメールの運用は「まだまだこれから」と佐藤氏は話す。
同社では外勤社員に携帯電話を貸与しており、ボイスメールを受信すると携帯電話に通知が届く。ユーザーはボイスメールサーバーにアクセスして内容の確認、返信を行う。
社内と外勤社員との連絡にはメールよりも電話が頻繁に使われており、従来は何度も電話を掛け直したり、同じ連絡内容を複数の社員に個別に電話するといったケースも少なくなかったが、今では同報発信も可能になり、すでに導入効果が表れている。
だが、佐藤氏もそれだけでは満足していない。社内のみならず、クライアントとの連絡なども含め、もっと身近なツールとして活発な利用を促すことで、生産性はさらに大きく向上できるはず――。そうした高い効果を見込んで導入したものだからだ。
「Office Communicatorは、マニュアルを配付し一度デモを行うだけで自然と利用が浸透した。だが、ボイスメールについては、ケーススタディなどでより具体的な利用法を説明することが不可欠。これからその教育に力を入れて、投資効果を高めてていきたい」
佐藤氏はそう力強く話している。
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管理本部 取締役 本部長 佐藤孝之氏 |
管理本部 ITグループ 古屋富裕氏 |