2030年に100万量子ビット目指す
量子コンピューターの性能を示す指標として、量子計算に使う「量子ビット」の数が用いられる。この量子ビット数は現在、どの方式でも数百から千程度とされている。

量子ビット数の目標設定
NTTとOptQCはこの量子ビットについて、「2027年に国内トップレベルの1万、2030年には世界トップレベルの100万を目指す」と島田氏は目標を示した。
この目標を達成することで、具体的にどんな価値が生まれるのか。具体例を挙げたのが下の図表だ。

量子コンピューターによる価値創造
1万量子ビットクラスの量子コンピューターが実現すれば、現在の古典コンピューターを遥かに凌ぐ性能によって、通信や交通、エネルギーといった社会インフラを最適化するような計算が数分で完了できるようになる。状況の変化に応じたインフラの最適化が可能になる。
そして、100万量子ビットの世界では、「これまでのコンピューターでは不可能だったことができる」(島田氏)。例えば、空気中の窒素から肥料を低エネルギーで生成するといった夢の技術が実現できる可能性があり、世界の食料問題の解決にも貢献できるという。
IOWN APNを世界規模の量子ネットワークに
こうした可能性を秘める量子コンピューターも、非常に高価な部品で構成される拡張が困難なものでは普及は難しい。そこに、光技術で優位性を持つNTTと、すでに光量子コンピューターの開発に成功しているOptQCが組む価値があると高瀬氏は話した。
NTTは通信領域で優れた光技術を持ち、「その多くが量子コンピューティングに応用可能なことがわかっている」(島田氏)。これにより、量産可能な部品で光量子コンピューターを作ることが、この領域での「勝ち筋」だと高瀬氏は強調した。

NTTの強みとOptQCとの連携で実現する優位性
さらに、社会実装を見据えた場合、光量子コンピューターをつなぐ「地球規模の光量子コンピューターネットワーク」を作るのに、NTTのIOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)が使えることが両社の強みとなるという。
両社は今後5年にわたり、光量子コンピュータのー実現に向けた共同検討を実施。AIをはじめとするユースケースとその社会実装についても検討を進めるとしている。










