技適マーク表示の柔軟化へ 総務省会議で自動車・医療業界が課題を報告

「技適マークの“本体表示”を前提とする現行制度に対応しきれなくなっている」。無線機器の小型化や無線モジュール組み込み製品が増加するなか、自動車・医療業界は、総務省の会議でこのように課題を訴えた。これを受け、総務省は技適マーク表示の柔軟化に向けた制度見直しを進める方針だ。

総務省の情報通信審議会 電波有効利用委員会 無線設備の認証の在り方検討作業班は2025年11月25日、第4回会議を開催した。

同作業班では無線機器の技術適合証明制度(いわゆる技適)の在り方を検討しているが、今回は技適マーク表示の課題について議論するため、同委員会内の電波監視作業班と合同で開催した。

国内で使用する無線機器には技適マークの表示が義務づけられている。しかし近年、機器の小型化や無線モジュール組み込み型製品の増加により、従来の“本体表示”を前提とした制度では対応が困難なケースが増えている。この日の会議では、自動車業界と医療業界から現場が抱える課題が示された。

“競争力維持には技適マーク表示負担軽減を” 自動車部品大手アイシン

自動車部品大手・アイシンの小出富雄氏は、車のデジタルキーに用いられるドア外側のハンドル内蔵無線機器を例に説明した。無線部品の幅は約18mmだが、このわずかなスペースにトレーサビリティ情報、技適マーク、さらに各国・地域の電波認証マークを印字する必要がある。

自動車のデジタルキーにおける技適マーク表示の現状

自動車のデジタルキーにおける技適マーク表示の現状

印字には慎重な作業が求められ、ミスが起きると廃棄コストが発生する。また、すべての国のマークを物理的に収められない場合は、仕向け地ごとに別品番を製造する必要が生じ、コストやリードタイムの増大につながるという。

電波法では本体以外への表示を認める例外規定があるが、適用範囲が「体内に植え込まれる機器」など極めて限定的で、車載用無線機器は対象外だ。さらに、自動車部品はB2B製品であり包装・容器が存在しないため、包装への表示も選択できない。外部ディスプレイも持たないため、「原則通り直接表示するしかない」。

小出氏は、「競争力維持のためにはマーキングにかかるコスト削減・納期短縮が重要」とし、技適マークを直接表示しなくてもよいとする場合の要件の拡充と、取扱説明書のみへの表示や二次元コード等を利用しWeb上での表示を認めるなど、表示方法の柔軟化を求めた。

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