NECは2013年11月5日、企業向けIPテレフォニー製品「UNIVERGE SVシリーズ」の新製品を発表した。前機種から5年ぶりにラインナップを刷新。中大容量コミュニケーションサーバ「UNIVERGE SV9500」と、小容量コミュニケーションサーバ「UNIVERGE SV9300」を同日から販売開始した。
NEC執行役員の保坂岳深氏(左)と、企業ネットワーク事業部・事業部長の野田修氏 |
NEC執行役員の保坂岳深氏は新製品について、「業務アプリケーションとコミュニケーション基盤とを融合する新プラットフォーム」を目指したと紹介。「デザインドコミュニケーション」という新コンセプトを掲げた。業務プロセスを効率化、自動化するための各種の業務システムが存在するが、そうした業務システム単独では作り込めないプロセスをコミュニケーション機能で補完しようとするコンセプト。「社員個人は、いつでもどこでも働ける環境ができてきた。しかし、社員間の連携を密にしなければ企業の総合力は高まらない。そこで、もう一歩踏み込むために、アプリケーションとコミュニケーションの融合が必要」と話した。
「デザインドコミュニケーション」をコンセプトに開発されたSVシリーズの新ラインナップ |
具体的には、業務システム等からSV9500/9300のコミュニケーション機能を利用するためのAPIを公開し、業務アプリとSVシリーズの連携ソリューションの開発を容易にする。連携の例として示されたのが、保守作業員の管理を容易にするソリューションだ。
複数の現場を移動しながら業務を行う保守作業員が、スケジューラに予定を登録する際に、併せてインスタントメッセージと位置情報も登録。その両方を管理者が閲覧可能な状態とし、下写真のように、各作業員のリアルタイムな位置情報やメッセージを一覧表示したり、地図上にマッピングされた状態で表示する。これにより、予定外の事態が発生した場合にも、近隣で待機中の作業員を探し出して対応させたり、経験の浅い作業員の現場にベテランを応援に派遣したりといったアクションが取れる。使用するデバイスも、スマートフォンやタブレット端末をはじめ多様なデバイスをサポートする。
スケジューラとSV9500のコミュニケーション機能の連携例 |
こうした業務アプリケーションとの連携について、企業ネットワーク事業部・事業部長の野田修氏は、「特定の業種向けに汎用的なものをNECが用意するほか、販売パートナーやソフトウェア会社が顧客企業向けに独自アプリを開発して提供するといった形態も想定している」という。
製品の形態については、これまで従来機種では専用ハードでの提供のみだったが、SV9500については今回初めて、汎用サーバーで導入・運用できる「UCサーバモデル」と、既存PBXや電話機等からの継承性を重視した「テレフォニーモデル」との2モデルを販売する。「お客様から汎用サーバーで使用したいというニーズが高まり」(野田氏)、それに応えたかたちだ。また、保坂氏は、「汎用サーバーでの運用を望まれるお客様がいる一方、絶対に電話は止まっていけないと高信頼性を望まれる声もある。ニーズが分化しており、そのどちらにもお応えするのが、トップベンダーであるNECの責務」とも語った。
価格は、SV9500 テレフォニーモデルが500万円から、SV8300が50万円からで、11月25日から出荷を開始する。SV9500 UCサーバモデルは2014年3月から出荷を開始する予定で、価格は現時点で未定となっている。