NECは2013年10月22日、テレコムキャリア事業の中期成長戦略を発表した。2015年度に向けた中期経営計画に基づくもので、2012年に7100億円だったテレコムキャリアビジネスユニット(BU)の売上高を、2015年度に8000億円に、合わせて海外売上比率も24%から36%へと高める計画だ。
NEC執行役員常務の手島俊一郎氏 |
重点事業に据えるのは、TOMS(通信事業者向け運用・管理ソリューション)とSDN。執行役員常務の手島俊一郎氏は、「TOMS、SDNともに大きな成長機会があると考えている」とし、この2つを柱としてグローバルに事業を展開していく方針を示した。
TOMSは、OSS(運用支援システム)/BSS(ビジネス支援システム)から構成される。OSSとBSSは、一般的には別のシステムだが、NECはこれを統合。ワンプラットフォーム化した、NetCracker社(NECの子会社)の「TOMS9.0」を展開する。プラットフォームの統一により、設備管理やネットワーク監視、サービス導入・運用監視といったOSSの機能と、顧客管理や課金管理等のBSSの機能を自由に組み合わせ、顧客ごとに多様なソリューションが提供できるのが強みだ。
TOMS事業では、OSS/BSSのプラットフォーム統合化を強みに、通信事業者以外の新規顧客層の拡大も狙う |
また、課金エンジンを強化したことにより、通信事業者以外の顧客、例えば送電事業者などでの採用例もでてきており、国内外問わず「新規顧客層を一層拡大していきたい」と手島氏は意気込みを見せた。
もう1つの柱であるSDNについては、ネットワーク機能の仮想化を意味するNFV(Network Function Virtualizationのコンセプトを取り入れた「キャリアSDN」を推進する考えを示した。これまで専用装置で構成されてきたキャリアインフラを、汎用サーバーとソフトウェアの組み合わせによって構築できるようにするもので、大幅な設備投資コストの削減が可能になるという。
新コンセプトであるNFVを取り入れた「キャリア向けSDN」を推進する |
今回、手島氏が「世界初」と紹介する仮想化モバイルコアネットワークソリューション「Virtualized EPC(Evolved Packet Core)」の販売も開始する。LTE基地局を収容するコアネットワーク装置の機能を汎用IAサーバーの仮想化基板上で稼働させるもの。これにより、「3割から4割のコスト削減が可能」。2013年12月から、ミャンマーの通信インフラ構築プロジェクトでの稼働が予定されているという。
NECでは、海外キャリアとのSDN商用化推進に向けた拠点として、SDN Technology and Marketing Centerを設立。SDN導入に積極的な10社以上のグローバルキャリアと商用化に向けた活動を進める。