UC導入の障壁となる「変革」と「継承」を越えられるか
前述したように、日本ではUCの導入がなかなか進んでいないのが現状である。その理由を丸井氏は、「UCを始めるには『変革』が必要となる。具体的には、マルチメディア統合システムによる統合基盤の整備と、コミュニケーションツールと業務システムとの統合および連携である。これらを実行することに二の足を踏む企業が少なくない」と説明する。
また、UCの導入が進まないもう1つの理由として、「継承」の問題も挙げる。アナログ電話機やPHSなどの既存の音声コミュニケーションツールの継続利用と、部署やプロジェクトチームといったチームプレイで仕事を進めていく日本企業のワークスタイルに合った環境の継承が必要とされるが、それを可能にするUCソリューションを見つけられないでいるのだ。
UCの導入が進まない理由は「変革」と「継承」にあり、この2つをクリアできるのがOKIのUCだという |
UC導入を阻むこの2つの課題に対し、OKIでは次のような解決方法を用意している。まずは多様な端末が選択可能なこと。アナログ電話機やスマホ、ソフトフォンなどを同一のコミュニケーション環境で利用できる。
ネットワークについても同様のことが言える。UCを導入するために、従来、分けて運用・管理していた音声系のネットワークと情報系のネットワークを統合しなくてはならないと言われ、導入をあきらめた企業は少なくないのではないか。OKIのUCならば既存のネットワークをそのまま使いながら導入することができるという。
3つの要件をクリアすることでUCの導入は必ず進む
次に丸井氏は、UC環境での個別のコミュニケーションツールの利用方法を紹介。ソフトフォンでは音声と映像を交えたコミュニケーションが利用できるうえ、クリック発信やプレゼンス(在席情報)による呼び出しも行えるため、業務効率を向上させることが可能だと説明した。
また、スマートフォンは内線電話として利用できるほか、アプリ連携でソフトフォンを起動してから発信可能なこと、Web電話帳を利用できることなども強調した。「スマートフォンを使ってビデオ会議にも参加できる。タブレット端末やノートPCからでも参加可能だ。音声だけでよければフィーチャーフォンや固定電話からも参加できる」
OKIはクラウドサービス「EXaaS」の提供も行っている。クラウドとスマートデバイスを連携させるものとして、MDM(モバイルデバイス管理)の機能を備えた「EXaaS ISM」を用意。デバイスの管理だけでなく、脆弱性の管理なども行えるのが特徴だ。
また、クラウド上にファイルを保管・共有し、いつでも、どこからでも閲覧できる「マイノート」や、スマートデバイスから社内システムを利用できる「マイオフィスゲートウェイ」などのサービスも用意している。
講演のまとめとして丸井氏は、次の3点を改めて取り上げた。
この3つをバランスよく進めていけば、UCの企業導入がさらに進んでいく |
1つは経営者と利用部門、IT部門それぞれの意識の違いを認識したうえで着地点を決め、一旦、導入することが決まったら、経営者は自ら進んでUCツールを利用すること。2つめはIT部門が先走りしてUCの導入を進めるのではなく、利用部門と歩調を合わせて実行していくこと。
3つめは日本の企業文化に合う形で導入を進めること。音声と情報のネットワークを一本化して一気にUCへと向かった方がいいのか。それともマイグレーションさせていくのがいいのかを利用者の意見も聞きながら決めていくこと。
「この3つをバランスよく進めていくことで、企業でのUCの導入がさらに進んでいくはずだ」と丸井氏は話し、演台を降りた。