無線機器の技術基準適合証明制度(いわゆる「技適」制度)の改正に向け議論する総務省 情報通信審議会 電波有効利用委員会「無線設備の認証の在り方検討作業班」の第2回会合が2025年9月19日に開催された。
8月の初回(参考記事)に続く今回は、無線設備のソフトウェアアップデートによる認証の簡素化について、通信事業者や機器ベンダー、業界団体の発言に基づいて議論された。
ドコモ・1FINITY、O-RAN/vRAN普及へ“RU単体”での認証を主張
NTTドコモは、オープンRAN(O-RAN)/vRAN(仮想化基地局)設備の技適取得の課題について述べた。O-RANは基地局のベースバンド処理や無線リソースを制御するCU/DU部と、無線信号を生成するRU部の間のインターフェース仕様を共通化し、基地局設備をマルチベンダー化する取り組みだ。また、vRANはこのO-RANを実現するため、CU/DUのハードウェアに汎用サーバーを適用し、ベースバンド処理や無線ソース制御をソフトウェアによって行う技術仕様であり、携帯電話事業者のトータルコスト削減や、システム構成の柔軟化につながることが期待されている。
この構成のため、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせパターンは膨大になるが、現行制度ではその組み合わせごとに技術基準適合証明を取得する必要があることがO-RAN/vRAN普及の課題となっているとドコモの担当者は指摘した。また、技適制度は電波の質を確保するための制度であるが、電波に影響しないソフトウェアアップデートによっても再認証が必要であり、かつ汎用品のハードウェアの仕様変更も頻繁に生じることなども課題として挙げられた。
ドコモはO-RAN/vRANにおけるハード・ソフトの組み合わせが膨大になることが普及の障害になっていると主張
1FINITYは基地局ベンダーの立場から、RU単体で認証が可能になるよう、「O-RAN時代ではもう少し(認証の)簡素化をしてほしい」と主張。実際に米国FCCでの認証の対象はRU単体であるほか、CU/DUとRUを認証の対象としている欧州でも、実機を揃えずともエミュレーターでも認証を取得できた事例があることを紹介した。