仮想化技術でAndroidが1台2役に! レッドベンドのBYODソリューションは何が違う?

携帯電話のソフトウェア更新に用いられるファームウェアの無線配信製品で知られるレッドベンド・ソフトウェア。同社は新たに1台のスマートフォンで公私を使い分けられるBYODソリューションで法人市場を開拓する。

Firefox OSなど新モバイルOSへの対応も可能

――各社からさまざまなBYODソリューションが提供されていますが、レッドベンドは何が強みになりますか。

藤村 当社は2010年に仮想化技術を持つVirtualLogixを買収して以降、携帯電話端末の仮想化に取り組んできました。

当社の仮想化技術は100ドル程度の廉価なAndroid端末に採用され、すでに約5000万台の出荷実績があります。その意味では、他社よりも経験が豊富だと自負しています。

――iOSやWindows Phoneに対応する予定はありますか。また、最近Firefox OSやTizenなど新たなモバイルOSに注目が集まっています。これら新OSへの対応についてはどのように考えていますか。

シルビア iOSやWindows PhoneはOSの中身が開示されていないので、現時点で対応することは困難です。オープンなOSであれば技術的には一切問題がなく、Firefox OSやTizenには対応可能です。

Android向けに更新技術

――レッドベンドは、携帯電話のソフトウェア更新に用いられるファームウェアの無線配信「FOTA(Firmware over-the-air)」製品でシェア8割を占めています。FOTAに新しい動きはありますか。

シルビア Android OSは最新版がリリースされるたびにファイルサイズが大きくなっており、バージョンアップ時にパーティションのサイズが変更できないことが深刻な問題になっています。端末メーカーは最新版の正確なファイルサイズを把握できないため、従来は製品出荷時にあらかじめ大まかなサイズを想定して確保しなければなりませんでした。

当社のFOTA 製品「vRapid Mobile」は最新バージョン8.0で、リパーティショニング技術を採用しています。端末メーカーはこの機能を使うことでフラッシュメモリのリパーティションを行い、ファイルサイズが大きく変更された場合でも最新のファームウェアに更新することが可能になります。

ソニーモバイルコミュニケーションズはレッドベンドの2番目に古い顧客で、ソニー・エリクソン時代も含めると累計で140機種に当社のFOTA製品が搭載されています。先日、一部機種がパーティションの問題から出荷時にAndroid OSの最新バージョンに対応できないという事態が発生しました。そこで、いち早く当社のリパーティショニング技術を採用していただいたところ、ソニー側でパーティションのサイズを変更し、出荷時に最新OSに対応することが可能になりました。

――携帯電話市場の成熟化により、新たな市場の開拓が求められますね。

藤村 当社の歴史を振り返ってみると、設立当初はPCからスタートし、2003年にモバイル機器に進出しました。当時はフィーチャーフォンが主流でしたが、今ではスマートフォンやタブレットが取って替わっています。

最近では自販機やスマートメーターなどのM2M製品にも対象を広げており、今後は自動車にも注力したいと考えています。ナビゲーションや音楽など車内でもインターネットに接続することが当たり前になっている中で、当社の技術が生かせる分野であり、非常に重要なマーケットと捉えています。

――今後、モバイル機器とM2M製品のシェアはどうなると予測していますか。

シルビア 当社のFOTAソフトウェアは2013年4月現在、約1300機種に搭載されています。このうち約8割がモバイル機器、残り約2割がM2M製品です。ある調査によると、2020年にM2M製品は約30億台、モバイル機器は約20億台になると予測されています。10年もしないうちに、M2Mがモバイル機器をシェアで上回るのではないかと思います。

月刊テレコミュニケーション2013年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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