ソフトバンクは2010年6月25日、株主総会の後に「新30年ビジョン」説明会を開催した。
創業から今年で30年を迎える同社の次の30年に向けた理念や戦略となるもので、代表取締役社長の孫正義氏が「私にとって最も重要なスピーチになる」と前置きした通り、2時間にわたり熱弁をふるった。
ソフトバンクは創業以来、「デジタル情報革命を通じて人々が知恵と知識を共有することを推進し、企業価値を最大化するとともに人類と社会に貢献すること」をビジョンとして掲げてきた。この理念は変わらず、今後30年も引き続き「情報革命で人々を幸せにしていきたい」（孫社長）という。
30年後には超高速のネットワーク、無限大のストレージやクラウドにより教育や医療などライフスタイルの激変が予想される。そうした中で、ソフトバンクは「世界トップ10企業の仲間入りをし、時価総額200兆円規模」を目指す。
具体的な戦略として孫社長は、「事業領域は情報産業だが、特定のテクノロジー、特定のビジネスモデルにはこだわらない」と述べた。その際、「最先端のテクノロジーや最も優れた企業と組み、ライフスタイルを革新する」計画だ。資本的な結合よりも同志的な結合を重視し、「自律・分散・協調し、自己増殖していくようなシナジーグループを形成する。戦略パートナー企業は、現在の約800社から30年後には5000社に拡大したい」という。
孫社長は今年53歳になる。かねてより60代で次の世代に事業を継承する方針を明らかにしており、「私の後継者問題はソフトバンクにとってある意味、最大の危機かもしれない」と語った。そこで、後継者育成を目的とした機関「ソフトバンクアカデミア」を7月に設立する。社内から270人、社外から30人の後継者候補を集め、「孫正義2.0を作る」（孫社長）予定だ。毎週水曜日の17時から夜は孫社長自ら指導にあたるという。
