総務省で、22GHz帯固定無線アクセス(FWA)高度化の検討がスタートした。
22GHz帯FWAとは、同帯域を用いた無線通信によってブロードバンドサービスを提供するものだ。今回の「高度化」の背景には、26GHz帯および40GHz帯の5Gへの追加割当がある(参考記事:5G新ミリ波を最大8GHz幅開放 26/40GHz帯の割当で何が変わる)。
26/40GHz帯の周波数を再編し、5Gへ割り当てるには、同帯域を使用する複数の既存無線システムの移行が不可欠。その移行先候補となっているのが22GHz帯だ。
26/40GHz帯の周波数移行・再編のイメージ
22GHz帯高度化の焦点は「降雨時の安定通信」と「TDD採用」
ただし、22GHz帯は雨や霧の影響を受けやすい特性があり、降雨時の減衰による伝送速度低下が課題となる。現行の22GHz帯FWAシステムで用いられている適応変調技術では、降雨時の伝送速度低下を許容できるシステムには適合するものの、天候によらず安定した伝送速度が必要なシステムには不向きだ。
そのため、安定した大容量伝送を実現するために技術的な高度化を図ることが今回の検討の目的だ。合わせて、5Gで主流となっているTDD方式の採用とチャネル配置の変更によって周波数利用効率を改善する。
22GHz帯FWAシステムの高度化に求められる主な要件
2025年8月に早稲田大学 理工学術院の前原文明教授を主任として陸上無線通信委員会 22GHz帯FWA高度化作業班が設立。8月20日に第1回会合を実施し、高度化の技術的条件および、22GHz帯を利用する他の無線システムとの共用条件について議論を開始した。