KDDIが障害対応で300億円を追加投資、最大84万人に700円を返金

KDDIの田中社長が相次いで発生したLTEの障害について記者説明会を開催。障害で影響を受けたユーザーに対する一律700円の返金、300億円の障害対策などを明らかにした。

KDDIは2013年6月10日、4月と5月に相次いで発生したLTEネットワークの通信障害の原因と対策を発表した。

障害は4月27日および5月29日、5月30日に発生したもので、東京都、神奈川県、山梨県の一部でデータ通信サービスが利用しづらくなり、それぞれ約59万、56万、64万人が影響を受けた。29日には音声通信サービスでも発信2.8万回、着信8.6万回に影響が生じた。

説明に立った田中孝司社長は、4月30日の決算会見で対策に万全を期すと表明した直後に同様の障害が発生したことを陳謝。影響を受けたユーザーに一律700円を返金することを明らかにした。3回の障害の影響を受けたユーザーの相当部分は重なるため対象は、74~84万人ほどになるという。

4月27日の障害は、LTE基地局制御装置(MME)の2種のソフトウェアバグが連鎖、二重化されているMMEの双方が機能しなくなったのが原因とのこと。5月29日と5月30日は、この回復作業で生じたMMEの輻輳、負荷増大が対策途上のバグによる障害を誘発した。

KDDIでは、障害原因となったソフトウェアのバグの改修を8月末までに終えるとともに、全国に19台配置されているMMEを8月末までに50台、9月末までに58台に増強。各MMEの負荷を想定処理能力の2割程度に抑えてネットワークの信頼性を高める。障害対策のための追加投資は約300億円で、うち約200億円をMMEの増強に充てるという。あわせてLTE監視要員を20名から40名に増員し、人的な障害対応力も強化する。

iPhone向けLTEの実人口カバー率は71%

今回の発表では、開示されていなかったiPhone/iPad向けの2.1GHz帯LTEの実人口カバー率も明らかにされた。2.1GHz帯LTEの2013年5月末現在の実人口カバー率は71%、2014年3月には同80%までエリアを拡大する計画とのこと。

2.1GHz帯LTEの実人口カバー率
2.1GHz帯LTEの実人口カバー率

同じくiPhone/iPadを展開するソフトバンクは、2013年3月末時点で2.1GHz帯のLTEは人口カバー率91%を達成している(KDDIは実人口カバー率63%)。田中社長は、これまで2.1GHz帯LTEの人口カバー率を開示してこなかった理由として、帯域毎の開示は各社とも行っていないことや事業者によって基準が異なることなどを挙げたが、数値比較が販売競争に及ぼす影響を懸念した部分が大きいようだ。

KDDIはiPhone 5で75Mbps LTEサービスが利用できるエリアの実人口カバー率を、Android端末の800MHz帯LTEの96%と誤記(実際は14%)、消費者庁から措置命令を受けた。これに加えて相次ぐ通信障害が、実人口カバー率開示の契機となった形だ。

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