SDN(Software Defined Network)や仮想ネットワークのための要素技術といえば、OpenFlowやVXLAN、TRILLなどのワードが思い浮かぶが、日本オラクルが展開するSDN/仮想ネットワークソリューションの土台となっているのはInfiniBandだ。
InfiniBandとは、主にHPC(High Performance Computing)の分野で使われてきたインターコネクト技術。イーサネットを上回る広帯域・低遅延も実現可能なことからHPC市場では一定のポジションを築いてきたものの、提供ベンダーが限られているなどの問題から、エンタープライズ市場ではほとんど採用されてこなかった。ただ最近、風向きは変わりつつある。
データセンターネットワークでは現在、サーバー間トラフィック(東西トラフィック)の急増が課題になっているが、これを解決する高速サーバー間通信技術としてオラクルなどがInfiniBandを積極的にプッシュしているからだ。さらにオラクルは昨年買収したI/O仮想化ベンダー、Xsigo Systemsの技術を用いて、InfiniBandを活用したSDNソリューション「Oracle Virtual Networking」を提供している。
4月4日、日本オラクルはSDN/仮想ネットワーク製品に関する記者説明会を開催したので、その概要をレポートする。
Oracle Virtual Networkingの3つの価値とは?
日本オラクル プロダクト・マネジメント・オフィス 本部長の宮坂美樹氏は、オラクルの仮想ネットワークの価値について3つのキーワードを挙げて説明した。
1つめは「シンプル」で、これはまずケーブリングの簡素化を意味している。サーバー集約・仮想化環境では、例えば1GbEのNICが3枚に10GbE NICが1枚、それにFC用のHBAといった具合に1台の物理サーバーに数多くの物理I/Oを搭載するケースが少なくない。その結果、非常に複雑な配線になる。
InfiniBandでシンプルなケーブリングを実現 |
しかし、InfiniBandでは、イーサネットやFC、iSCSIなどを1本のケーブルに統合することが可能だ。このため配線はすっきりし、「ハードウェアコストも50%くらい削減できる」(宮坂氏)という。
Oracle Fabric Interconnect。上段がInfiniBandのポートで、下段のI/Oモジュール・スロットにはイーサネットやFCなどのモジュールが挿せる |
また、ネットワークの運用もシンプルになる。宮坂氏は実際に、運用ツールのGUI画面上から仮想NICを追加し、接続したい仮想ネットワークを選択して承認するだけで、ネットワークの変更が完了することをデモしてみせた。なお、Oracle Virtual Networkingでは最大1万6000の仮想ネットワーク環境を構築可能だ。
2つめの特徴は「高性能」である。オラクルでは仮想ネットワーク用のハードウェアとして「Oracle Fabric Interconnect」を2モデル用意しているが、最大でサーバー当たり40Gb InfiniBand×2の80Gbpsを実現できる。
InfiniBandのパフォーマンスの特徴 |
最後の3つめは「高セキュリティ」で、完全に独立したマルチテナントネットワークが構築可能とされた。VLANによる論理分割の場合、物理的にはネットワークは分離されていないわけだが、Oracle Virtual Networkingでは下のスライドのように、異なる物理ポートに仮想NICを終端させることで、完全に分離できるという。
I/Oを完全に分離可能だという |