「アイネットはデータセンターとクラウドインフラに強みがあり、ACCESSはHTML5とSDNに強みがある。それぞれの特徴を生かし、様々な企業向けクラウドサービスを共同で企画・開発していく」(アイネット 常務取締役 事業統括の田口勉氏)
アイネットとACCESSが2013年3月21日、クラウドサービスでの提携を発表した。アイネットは、ACCESSのネットワーク仮想化ソリューション「ACCESS SDN Solutions」を採用した新クラウド基盤を構築するほか、同基盤上でACCESS製品を用いたクラウドサービスもあわせて提供する。また、ACCESSも、アイネットのクラウド基盤を自社のクラウドサービスに利用していく。
アイネット 常務取締役 事業統括 田口勉氏 | ACCESS 取締役 副社長執行役員 兼 最高執行責任者(COO) 楢崎浩一氏 |
独立系ITサービスプロバイダーのアイネットは、現在3つのデータセンターを横浜に保有し、施工中の4番目のデータセンターも含めると、その規模は延べ面積2万2000平米、3000ラックに及ぶ。同社のデータセンター事業は今、「コロケーションサービスから上位レイヤーへの拡大」(田口氏)を進めているところで、クラウドサービス「VAiOS」はIaaSからSaaSまでラインナップしている。
アイネットは今回の提携により、ネットワーク仮想化、企業向けチャットの「thresh」、HTML5ベースのデジタルサイネージ「Dream Signage」、ゴルフスイングを解析する「Fullmiere(フルミエル)」の4つを新クラウドサービスとして追加。さらに順次拡充していく計画だ。
ACCESS 取締役 副社長執行役員 兼 最高執行責任者(COO)の楢崎浩一氏は、両社の提携が生み出す価値について、「OSフリー、デバイスフリー、ネットワークフリーの3つのフリーダムを実現できる」ことと説明した。
HTML5ベースのデジタルサイネージが可能な「Dream Signage」の概要。ちなみにACCESSの製品名は「ACCESS Signage」である |
ACCESSではHTML5に注力しているが、HTML5のメリットについて「OSやデバイスに縛られず、Webブラウザさえあればいい」と解説。この日明らかにされた新サービスでは、デジタルサイネージのDream SignageがHTML5対応になっており、「そのためデジタルサイネージの専用端末が不要。テレビでもタブレットでも、Webさえできれば、その端末をサイネージにすることができる」と話した。両社は引き続きHTML5ベースのアプリケーションを拡充していく方針だ。
アイネットは全国のガソリンスタンドの25%を顧客に持つなど、様々な業種向けソリューションを持つが、田口氏は今後の方向性として「店舗や工場などの各種現場に、スマートフォンやタブレットに対応したクラウドサービスを提供したい」と説明している。そのうえでもOSフリー、デバイスフリーは大きな意味を持つ。
アイネットのクラウドサービスの方向性。今後は店舗などの各種現場向け、さらにはM2Mなどにも注力していくという |
ネットワークフリーに関してはSDNで実現する。前述の通り、アイネットの新クラウド基盤はACCESSのネットワーク仮想化ソリューションを採用するが、これをサービスとしてユーザー企業にも提供。ネットワークの構築・運用コストを低減できるという。