NTTは2013年2月6日、2012年4~12月期連結決算を発表した。売上高は前年同期比1.8%増の7兆9217億円、営業利益は同1.6%減の1兆94億円だった。NTTドコモのスマートフォン販売やXi契約の拡大、NTTデータの海外事業の好調で売上高は3期連続の増収となる一方、営業利益は減益となった。ただ、第3四半期単独では増益で、鵜浦博夫社長は「(グループ各社が)第4四半期でも利益確保に務めることを期待している」と語った。
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NTTの鵜浦博夫社長 |
セグメント別では、地域通信事業のNTT東西がFTTHサービス「フレッツ光」の純増が伸び悩み、音声収入の減少分をカバーしきれず減収となった。純増数の年間計画の達成も「かなり厳しい状況」としている。ただ、コスト削減による増益は確保した。
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NTTドコモのスマートフォン販売の拡大やNTTデータの海外売上の拡大から3期連続の増収となった |
コンシューマー市場で苦戦が続いているフレッツ光だが、昨年12月に開始した新たな割引きメニューの効果は少しずつ現れており、12月は新規ユーザーが拡大した。他方、法人市場では中小企業やSOHOにおける需要が伸びており、新たにこの分野向けの取り組みを強化しているという。
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「フレッツ光」はSOHOなど法人市場の販売拡大を図る |
移動体通信事業のドコモは、iPhone対策の販促費用などがかさみ、営業利益は減益となった。ドコモが今後iPhoneにどのように取り組むかについて、鵜浦社長は「あくまでもドコモの決定を尊重するが、プロバイダーとしての論理も大切だが、ユーザーニーズに応えることもバリューパートナーとしては必要ではないか」との考えを示した。
NTTは同日、北米におけるR&D会社をこの4月に発足させることを発表した。NTTコミュニケーションズの子会社「NTT Multimedia Communications Laboratories」を持ち株会社の帰属とし、社名を変更する。セキュリティやクラウド、知的財産に関する研究開発を行う。NTTの研究所や事業会社からも人材を派遣し、30~40人でスタートするが、現地採用も含めて早期に100人まで規模を拡大する計画。トップは、現地でNTTグループ外の人物を採用する。北米にR&D拠点を設立する目的は「スピードを上げて、効率のよい開発を行うことにある」(鵜浦社長)という。