New Relicが新機能発表 AIエージェントや動画視聴体験分析でビジネス貢献へ

オブザーバビリティプラットフォーム「New Relic」に、AIを活用した新しい機能群が加わる。1つは、Webサービスに生じた問題をAIが分析し、ダウンタイムを縮小する「AIによるビジネスのアップタイム向上」に関する機能群だ。新たにAIエージェントも導入し、各ツールとの連携も強化される。もう1つは、動画視聴体験の分析を中心とした顧客体験改善の機能群。サイト訪問や購入といったコンバージョンの改善を支援する。

AIで顧客体験改善 動画視聴体験や画面操作を分析

このような機能により問題把握から解決までのプロセスを変革するだけでなく、ビジネス面にもさらに踏み込む。それが2つめの「顧客体験の改善によるビジネス貢献」に関する機能群だ。

ビジネスにおいて動画の重要性が日増しに高まっているが、その効果の分析は難しく、専用ツールは高価であったり観測範囲が部分的という問題があるという。そこでNew Relicは、動画視聴からサイト訪問、購入などのコンバージョンに至る顧客体験を観測・分析する機能を開発した。

具体的な機能の1つが、動画の視聴体験を観測する「Streaming Video & Ads Intelligence」だ。自社サイトに埋め込んだ動画や外部サービスの動画を、再生品質や広告視聴率などの視聴体験を把握し、動画の品質改善につなげる。再生環境も、モバイルアプリや専用端末など、幅広く対応する。

「Streaming Video & Ads Intelligence」による動画視聴体験の分析

「Streaming Video & Ads Intelligence」による動画視聴体験の分析

また、「Engagement Intelligence」は、顧客の画面操作の要約やUX改善策をAIが自動で提示する機能だ。New Relicは昨年、ユーザーの操作を記録し再現する「Browser Session Replay」機能をリリースしているが(参考記事)、その情報収集範囲を広げ、ビジネス改善の効果をより高めようとするものだ。

例えば、ECサイトの特定のボタンをユーザーが何度もクリックしていることを観測した場合、AIはこれをユーザーが期待通りに動作しないことに苛立ったための「怒りクリック」として記録し、UXの改善ポイントとして提示する。

「Engagement Intelligence」によるUX改善案提示の例

「Engagement Intelligence」によるUX改善案提示の例

New Relicは幅広い分析をダッシュボード上で可視化して提供するが、その情報共有はアカウントを持つユーザーに限られていた。これを改良し、New Relicのアカウントを持たない経営層やサービス利用者などに簡単にダッシュボードを共有できるようにした「Public Dashboards」も追加された。これにより、「コミュニケーションのオーバーヘッドをなくし意思決定を迅速化できる」(齊藤氏)。

New Relic 副社長の宮本義敬氏

New Relic 副社長の宮本義敬氏

同社 副社長の宮本義敬氏は、当初エンジニア向けのツールだったNew Relicが、コールセンターや事業部門など非IT部門での活用が広がっていることを良品計画やパナソニック系企業の例を挙げて紹介。「莫大に増えたデータからAIの力でインサイトを得て、(NewRelicを採用する)サービスの持続的成長につなげていきたい」と語った。

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