NTTは2025年3月19日、手の皮膚に対して広範囲かつ高密度に刺激を与えることができる「触覚インターフェース(触覚提示装置)」を開発したと発表した。この知見を活かし、XR空間における豊かな触体験の実現を目指すという。
人間は、物体の質感・形状・動き等を捉える感覚・知覚機能を使って、物体を識別・操作している。NTTはこの「動き」に着目し、動きの知覚速度(物体の動きを認識するまでにかかる速度)の調査に必要な触覚インターフェースを構築した。今回NTTが開発した触覚インターフェースは、空気圧によって手の皮膚に触覚を与えるシステムである。
NTTコミュニケーション科学基礎研究所 人間情報研究部 特別研究員の宇治土公雄介氏によると、従来の触覚インターフェースは、空気を圧送する「駆動部」と、圧覚を発生させる「提示部」が一体化しているケースが多い。
NTTコミュニケーション科学基礎研究所 人間情報研究部 特別研究員 宇治土公雄介氏
これにより、皮膚上への情報提示(皮膚に対して物理的な触覚を与えること)位置の間隔が広くなり、高密度な情報提示が難しかったという。また、提示範囲が指先のみに限られている触覚インターフェースも少なくない。
他の触覚インターフェースとの比較
そこでNTTは、この駆動部と提示部を分離させた触覚インターフェースを開発。「指先から手のひらにかけて情報提示位置を3mm間隔で設計するなど、情報提示位置の設計自由度が向上した」と宇治土公氏は説明した。