「2013年は真のSoftware Defined Data Centerを推進していく」
日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は2012年1月8日、ネットワーク事業戦略説明会を開催。そのなかで同社常務執行役員の杉原博茂氏は、冒頭のように述べた。
Software Defined Data Center(以下、SDDC)とは、ソフトウェアにより一元的にコントロール可能なデータセンター。ネットワーク業界で今一番のトピックであるSDN(Software Defined Network)のコンセプトを、データセンター全体に拡張したものと言えるだろう。
HPが考えるSoftware Defined Data Center |
最近、ヴイエムウェアがこの言葉をよく使っているが、「昨日今日ある会社を買ったからSDDCと言っている企業とは我々は違う」と杉原氏。サーバーからストレージ、ネットワークまでをトータルで提供できるHPの強みをアピールするとともに、SDNのリーダー企業の1つだったNicira社を買収したヴイエムウェアなどのライバル企業への対抗心を露にした。
SDNコントローラーも投入
SDDC推進のため、HPはSDN戦略も2013年に本格化させる。すでに同社のネットワーク製品25機種がOpenFlow 1.0に対応済みで、「1500万ポートがOpenFlowで稼働している」(インダストリスタンダードサーバー・ネットワーク製品本部の尾崎亨氏)というが、2013年はさらにハイエンドスイッチなどへも対応機種を広げていくとともに、対応バージョンも最新の1.3.1へとアップデートしていく計画だ。また、40G対応機種も拡大していくという。
OpenFlow対応機種の拡大や最新バージョンへの対応などを図っていく |
OpenFlow対応スイッチのようなインフラストラクチャー層にとどまらず、アプリケーション層とコントロール層でもSDN対応製品を投入していく。
まずアプリケーション層では、次の2つのSDN対応製品を2013年下半期に提供予定だ。「HP Virtual Cloud Network Application」は、OpenStackと連携し、クラウドサービスのネットワーク配備を自動化できる製品。もう1つの「HP Sentinel Security」は、同社のセキュリティ製品や後述のSDNコントローラーなどとの連携により、ネットワークアクセス制御と侵入防御の自動化を実現するものだ。
アプリケーション層とコントローラー層に投入する3つのSDN対応製品 |
コントロール層では、OpenFlowスイッチのコントロールを実現するSDNコントローラー「HP Virtual Application Network SDN Controller」が発表された。いわゆるノースバウンドAPI――サードパーティアプリケーション向けのAPIも備えている。このSDNコントローラーも2013年下半期の提供予定だ。
二極化戦略でシェア拡大
世界的にはネットワーク分野でも高いシェアを有するHPだが、国内ではまだシェアは5%ほど。世界市場でのシェア18%と比べると苦戦が目立つが、「逆に言うと、日本の市場には大きなビジネス機会があると考えている」と語ったのはHPネットワーク事業本部 事業本部長の多田直哉氏だ。同氏は、「二極化戦略で攻略していきたい」と国内戦略を説明した。
HPのネットワーク製品の世界シェアと国内シェア |
二極化戦略とは、製品・顧客需要により2つのセグメントに分けて、異なる施策を展開していくというもの(下記スライド)。コア向けの製品においては、ネットワークインテグレーターとの戦略的アライアンスが軸となる。4月にチャネルプログラムの強化も図る計画だ。また、米本社と連携し、日本市場向けの製品開発も今まで以上に行っていくという。一方、エッジ向けについては、サーバーやストレージとのパッケージソリューション化をテコに、顧客開拓を推し進めていく方針である。
HPネットワークの国内戦略 |
この二極化戦略により、「3年以内にシェア20%以上を確保したい」と多田氏は目標を掲げた。