京セラ、電波の進行方向を変える透明フィルム 実験ではミリ波5Gの下り速度が最大2.7倍

京セラは2025年2月25日、電波の進行方向を所望の方向に変えることができる透明メタサーフェス屈折フィルムを開発したと発表した。高い周波数を用いるミリ波5Gや6G等のサービスエリア拡大に貢献するという。

京セラが今回開発した透明メタサーフェス屈折フィルムは、透明で薄くフレキシブルな形状のため、景観に配慮しながら、窓ガラスやアクリルスタンドなど多様な場所に貼り付けられるのが特徴だ。5Gで用いられているミリ波(28GHz帯)をはじめ、高い周波数帯は電波の直進性が高いため、基地局から見通しが得られない場所では安定した通信を得ることができない。だが、この透明メタサーフェス屈折フィルムにより、基地局からの電波の進行方向を曲げることで、障害物により通信できない場所へも電波を届けることが可能になる。

京セラが開発した透明メタサーフェス屈折フィルム(左)と、屋内への引き込みイメージ(右)

京セラが開発した透明メタサーフェス屈折フィルム(左)と、屋内への引き込みイメージ(右)

28GHz帯の5Gを用いた実験では、屈折フィルムの貼り付け前後でダウンリンクは最大2.7倍、アップリンクは最大5.2倍に伝送速度が向上することを確認できたという。京セラはすでに基板タイプのメタサーフェス屈折板も開発しており、耐候性を重視したい場合は基板タイプ、景観を重視したい場所ではフィルムタイプと、設置形態に応じた提供を行っていく。

5G基地局を用いた効果確認試験の結果

ミリ波5G基地局を用いた効果確認試験の結果。基地局から見通しが得られず、受信電力が低い地点に端末を配置し、窓ガラスに屈折フィルムを張り付けた際の伝送速度は測定した

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