NECのテレコム事業戦略「5GはAIやロボットのため。vRAN前提に自動化・DX化」 木内テレコムサービスBU長に聞く

NECが通信事業者向けビジネスの「ソフトウェアシフト」を進めている。vRANやOSS/BSSなどを土台に通信事業者の自動化・DX化に貢献し、「規模の経済」とは距離を置いた、高付加価値ビジネスへ転換するのが狙いだ。テレコムサービスビジネスユニット長を務める木内氏に、事業戦略や5Gの今後などを聞いた。

NEC 執行役 Corporate EVP 兼 テレコムサービスビジネスユニット長 木内道男氏

NEC 執行役 Corporate EVP 兼 テレコムサービスビジネスユニット長 木内道男氏

――NECの通信事業者向けビジネスを担うテレコムサービスビジネスユニット(BU)はここ最近、グローバル5G事業の見直しや、ハードウェアからソフトウェアへのシフトに取り組んできました。こうした構造改革の結果、2023~2025年度の調整後営業利益の年間平均成長率(CAGR)は37.5%の見込みと、収益性が大きく改善しています。

木内 ソフトウェアシフトを進めてきた理由は大きく2つあります。

1つは、必ずしも専用機を作らなくても、汎用サーバーでいい領域がどんどん増えてきていることです。基地局も、DUやCUといった親局側の装置は、技術的には専用機が必要なくなってきています。

専用のハードウェアを作るとなると「規模の経済」になりますから、我々のマーケットでのポジションを考えても、そうした方向へシフトした方がビジネスはやりやすいです。対して、既存の主要ベンダーの場合、ハードウェア部分の売上を失うようなビジネスモデルはやりたがりません。

2つめは、ソフトウェア化しないと自動化も進展しないことです。

日本の通信事業者のオペレーション担当の方は定着率もスキルも高いので、国内ではあまり問題になってきませんでしたが、従業員の流動性が高い海外では「3年で全員変わる」みたいな話もあります。そのため、人間が頑張るというより、システムに業務をインプリしていく方向性になっています。労働人口が減少していく中、日本もそうした形へシフトしていく必要がありますが、ソフトウェア化して自動制御できる範囲を広げていくことが重要です。

例えば、基地局の購入費用と建設工事費用は同じくらいだと思いますが、CU/DUなどをソフトウェア化して自動でデプロイできれば、基地局開設までのスピードは速くなり、建設工事費用も下げられます。

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木内道男(きうち・みちお)氏

1966年2月生まれ。1989年NEC入社。電子交換機のソフトウェア開発やルーター開発に従事し、2015年に日本電気通信システムに出向、共通プラットフォーム開発の責任者。2016年にNECに復帰し、NFVの開発をリードし、通信事業者向け仮想化モバイルコアネットワークソリューションを世界で初めて展開(発売)。2019年にモバイルコアのソフトウェア、OSS/BSS開発を統括し、2021年に執行役員としてネットワークインフラ事業全体をリード。2023年にCorporate EVP 兼 テレコムサービスビジネスユニット長に就任

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