「電話MVNO」で次の成長フェーズへ――日本通信 福田副社長インタビュー

MVNO大手の日本通信は、スマホ電話SIMの市場投入により「電話MVNO」としての第一歩を踏み出した。音声通信事業領域に進出した背景と成算を聞いた。

今がMVNO参入の好機

――今年に入ってMVNE(Mobile Virtual Network Enabler)として、多くのパートナー企業を支援していますね。

福田 元々、多数の企業がMVNO参入に意欲的でした。何せモバイル市場規模は10兆円にも上りますから、そこに商機を見出そうとするのは当然のことです。最近になって活発化している理由として考えられるのは、キャリアのMVNOに対する姿勢が変わってきたことです。

かつてはMVNOの台頭は、キャリアにとっては売上を落とす要因と捉えられていました。しかし、MVNOが増えるということは回線を獲得してくれるというメリットをもたらすため、結果的に自分たちにとってもプラスになるということが理解されてきたのです。

通信キャリアから見れば、すでにMVNOは「自社の通信サービスを低価格で提供する別のブランド」という位置付けになりつつあります。

たとえばNTTドコモの場合、市場シェアの半分を占めているので、ブランドを多様化させることにそう違和感は無いでしょう。現在ではISPを中心にずいぶんMVNOを増やしています。ドコモもMVNOと真っ向から対立するのではなく、むしろプラスに捉えて拡大させようとしているのでしょう。

――参入が容易になったということですね。

福田 そうです。こうした流れのなか、イオンやヨドバシカメラ、アマゾンといった異なる業界のリーディング企業が当社のパートナーになったことが、MVNO市場を拡大させるトリガーとなりました。

そしてさらに、同じ業界の他の企業にも、参入のチャンスがあるということが広く知れ渡ったのです。これは、当社にとって販路を広げる好機になっています。

――販路開拓のために具体的にどのような施策を講じていますか。

福田 オンライン上で本人確認が取れる仕組みを作り、ウェブショップでの販売ができるようになりました。店頭で対応するためのコストが下げられる分、安価に流通させることでユーザーに還元していこうと考えています。

月刊テレコミュニケーション2012年10月号から転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

福田尚久(ふくだ・なおひさ)氏

1986年東京大学文学部卒業、1992年ダートマス大学経営大学院(MBA)修了。1993年9月、アップルコンピュータ入社(1996年からアップルコンピュータ米国本社ディレクターを兼務)。同社事業推進本部長およびマーケティング本部長を経て、2001年アップルコンピュータ米国本社副社長に就任。2002年4月日本通信上席執行役員、2004年取締役を経て、2006年常務取締役に就任。2010年代表取締役専務、2012年6月代表取締役副社長に就任

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