金融業界から見たIOWN APNの可能性 NTTデータGと三菱UFJ銀行が描く「マルチデータセンター基盤」

NTTデータグループと三菱UFJ銀行が、金融業界におけるIOWN活用の可能性を模索している。複数データセンターをIOWNAPNで相互接続するというアプローチで、金融業界が抱える課題解決を目指す。

(左から)三菱UFJ銀行 営業本部 情報通信・テクノロジー部 第一グループ 安井優氏、同社 産業リサーチ&プロデュース部 R&D第三グループ 難波雅善氏、NTTデータグループ Innovation技術部 IOWN推進室部長 三浦広志氏、同社 同室 課長 梅森直人氏

(左から)三菱UFJ銀行 営業本部 情報通信・テクノロジー部 第一グループ 安井優氏、同社 産業リサーチ&プロデュース部 R&D第三グループ 難波雅善氏、NTTデータグループ Innovation技術部 IOWN推進室部長 三浦広志氏、同社 同室 課長 梅森直人氏

――三菱UFJ銀行はIOWN Global Forumに金融機関としていち早く参画されました。その狙いを教えてください。

三菱UFJ 安井 NTTからIOWN構想をご紹介いただき検討を開始しました。電力効率100倍、伝送容量125倍、エンドツーエンド遅延1/200の次世代情報通信基盤であるIOWNは、金融業界も含め、あらゆる産業に地殻変動をもたらすと思いました。

MUFGは「世界が進むチカラになる。」というパーパスを掲げ、様々な技術を活用して新たな金融サービスづくりに取り組んでいますが、このパーパスとIOWN構想が共鳴している点も大きいと考えています。

NTTデータG 三浦 NTTデータGと三菱UFJ銀行は、昨年3月から金融システムへのIOWN適用を検討するチームを立ち上げ、ユースケースの創出に向けた活動を進めてきました。そして今年7月、IOWN Global Forumのホワイトペーパー「金融ユースケースのためのサービス基盤」を公開し、金融業界における情報インフラの課題やユースケースなどを提示しました。

――金融業界はどのような課題を抱えているのでしょうか。

三菱UFJ 難波 IOWNは低消費電力、大容量・高品質通信、低遅延という特徴を有していますが、逆に言えばIOWNの“裏返し”が金融業界でも課題です。

まず消費電力の削減についてですが、金融業界に限らず、環境への負荷を最小限に抑えながら価値を最大化する「エコエフィシェンシー(環境効率)」の観点を持ってビジネスを行うことは、今よりさらに重要なテーマになってくるでしょう。

また金融業界では、デジタル化の動きが加速しています。通帳を使って現金を引き出し、紙の申請書を作成して振込を行うといったアナログなやり方は減っており、金融業は情報通信業と言っても過言ではないくらい、新たなICTで新たなビジネスが生じています。同時に、デジタルバンキングなどの次世代金融サービスを支えていくには、高速で安定した通信インフラが必要になってきます。

IOWNの「低遅延」にも注目しています。例えば、銀行間取引や証券取引にあたっては、タイムリーかつストレスフリーな取引を実現させる必要があり、ピーク時間帯であっても取引の際に障害が発生してはなりません。

マネーロンダリング(資金洗浄)対策にITシステムを導入するケースも増えてきていますが、低遅延なネットワークで怪しい取引をいち早く察知できれば、より安全・便利な金融サービスをお客さまに届けることができると考えています。

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