ジュピターテレコム(J:COM)、住友商事、KDDIの3社は2010年6月10日、アライアンス関係の構築に関する覚書を締結し、今後アライアンス関係の構築に向けた各種施策の詳細検討を行うことに合意した。
(左から)KDDI取締役執行役員専務の両角寛文氏、ジュピターテレコム代表取締役社長の森泉知行氏、住友商事代表取締役常務執行役員の大澤善雄氏 |
住友商事はJ:COM設立以来の株主であり、KDDIは2010年2月19日にJ:COMの主要株主になっている。J:COMとKDDIは4月下旬に(1)通信事業・商品提携、(2)メディア事業、(3)CATV事業、(4)技術・インフラの4つのワーキンググループ(WG)を設置。各WGには両社の役員から担当者までが参画し、事業上のシナジーの実現に向けた協議・検討を行ってきた。その結果、両社が協働することによってシナジーの実現が見込まれるとの共通認識に至ったため、今後3社間で各種施策の詳細検討を行うことに合意したという。
アライアンスの内容だが、(1)では「固定電話事業」「携帯電話事業」「高速無線データ通信事業」の3つがポイントだ。「固定電話事業」については、両社の電話サービスの連携に向けての検討を行う。具体的には、J:COMはKDDIの「ケーブルプラス電話」サービスの卸提供を受け、新サービス「J:COM PHONEプラス」(仮称)の提供を検討する。まず、既存の同社レガシー電話ユーザーを新サービスに移行するとともに、新規ユーザーには新サービスを販売する方向という。これによりJ:COMユーザーは、KDDIの携帯および固定電話サービスユーザーとの優遇通話(「auまとめトーク」)などのメリットが享受でき、両社ユーザーの顧客満足度の向上などが期待できる。
電話サービスの連携により、両社の顧客満足度向上、加入促進効果、解約防止効果が期待できる |
「携帯電話事業」では、J:COMのトリプルプレイサービス(多チャンネルデジタルテレビ、高速インターネット接続、固定電話)にau携帯電話サービスを加える検討を実施する。J:COMの森泉知行社長は「3200万回線を超えるau携帯電話のユーザーとの連携が深まり、当社にとって大きなプラスになる」と期待している。
「高速無線データ通信事業」では、KDDIの関連会社であるUQコミュニケーションズとの協議を開始。高速無線通信サービス「UQ WiMAX」を、高速インターネット接続サービス「J:COM NET」のオプションサービスとして提供することを視野に入れている。
J:COMとKDDIは、クロスセルプロモーションの実施も検討する |
(2)のメディア事業では、「VODサービスでの連携」「広告事業における連携」「コンテンツの相互配信」の3分野での検討を進める。例えばVODサービスでの連携では、コンテンツ調達機能をJ:COM側で一元化するとともに、将来的には両社のVODシステムの統合も目指す。
(3)のCATV事業については、KDDIの子会社であるジャパンケーブルネット(JCN)と資本・ビジネスの両面での提携を検討する。森泉社長は「まだ細かい話には至っていないが、日本で第2位のCATV局と一緒になれば、極めて大きなメリットが両社で出ることは間違いない」と語った。
(4)の技術・インフラではまず、J:COMの電話サービスについて、「国内および国際通信のほとんどの部分をKDDIに集約する方向で検討する」(森泉社長)という。これにより、運用コストの削減が図れる。また、電話以外のネットワークについても、KDDIのインフラを活用する検討を行う。さらに、両社の技術を結集し、次世代セットトップボックス(STB)やサービスプラットフォームの開発も推進する。
今後の具体的なスケジュールは未定。森泉社長は「今すぐできるものはすぐにやる。追加の投資や準備が必要なものは早く決めて早くやる。案件が多岐にわたるので、検討が終了し、お互いに合意ができた段階で1つひとつ発表していきたい」と語った。