<特集>5Gの新常識5Gビジネスの現在地 企業活用はここまで進んだ!

「期待ほどの成果は出ていない」との指摘もある5G。だが、映像伝送や限られた敷地内での活用など、エンタープライズの領域でのユースケースが広がり始めている。本稿では、その最前線をレポートする。

日本では2020年3月に商用サービスがスタートした5G。全国の5G人口カバー率は、2023年3月末時点で96.6%に達しているにもかかわらず、「5Gビジネスは発展途上」との指摘も聞こえてくる。

5Gならではのキラーアプリケーションの登場が期待されるが、総務省が昨年7月に公表した「5GビジネスデザインWG報告書」では、5Gインフラへの投資が不十分、かつ5G対応端末も少ないため、ユースケースが創出されていないと分析している。ただ、5Gを活用した新ビジネスの萌芽が見られないわけではない。

まずは「映像伝送」から

「先行して進んでいるのは映像伝送」。こう語るのは、IDC Japan Software&Services リサーチマネージャーの小野陽子氏だ。他のユースケースと比べて難易度が低く、導入効果も見込みやすいからだ。

例えばNTTドコモとNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、高知で開催された「2022 よさこい鳴子踊り特別演舞」のテレビ生中継において、5Gとdocomo MECを活用したモバイル映像伝送を実施し、中継車と中継カメラ間の有線ケーブルを無線化。KDDIも、「東京マラソン2023」の地上波中継放送に5Gを活用している。

撮影に必要な人員を削減できるうえ、「演者の足元に行って撮影するなど、有線ケーブルでは難しかったカメラのポジショニングが可能になり、臨場感のある映像が撮れるようになる」とNTT Com プラットフォームサービス本部 5G&IoT サービス部 5Gサービス部門 第二グループ 担当部長の土屋武雄氏は自信を見せる。

(左)モバイル映像伝送を活用したカメラマン1名での生中継、(右)従来の有線ケーブルによる4名体制での生中継 出典:NTT Com ニュースリリース

(左)モバイル映像伝送を活用したカメラマン1名での生中継、(右)従来の有線ケーブルによる4名体制での生中継 出典:NTT Com ニュースリリース

ソフトバンク プロダクト技術本部 NW企画開発部 プロジェクト推進課課長の山田大輔氏も、放送・メディア業界からの需要が増加していると話す。

具体的には、中継現場と放送局のスタジオをネットワークでつないで番組制作を行う「リモートプロダクション」への活用だ。放送局側からカメラなどの機材を遠隔制御することで、中継現場に必要な機材や人員を削減できる。「放送業界が求める通信品質のレベルは非常に高い。テレビ中継車の費用対効果も良くないという状況もあって、5G回線を活用するケースが多い」

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