モバイルネットワークの体感品質をグローバルに調査・分析するOpensignal社のレポートにおいて近年、高い評価を得ているKDDI。「通信が解き放つビジネス共創の最前線」と題して講演した同社 コア技術統括本部 技術規格本部 副本部長の佐藤卓郎氏は、Opensignalのグローバル5G通信体感分析で「世界評価No.1」を獲得したことを紹介し、質の高さをアピールした。

KDDI Summit 2025で講演したコア技術統括本部 技術規格本部 副本部長の佐藤卓郎氏
具体的には、2025年9月30日に発表された「5Gグローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード2025」において、全6部門のうち「5G信頼性」「5Gゲーム・エクスペリエンス」「5G音声アプリ・エクスペリエンス」の3部門で世界1位を受賞(ニュースリリース)。日本国内の分析レポートにおいても、3年連続で最も多くの部門で1位を獲得している。
この成果を支える要因として佐藤氏が強調したのが、「高速5G専用ネットワークと、業界最多のSub6基地局」だ。
“5G専用”とは、コア網まで5G化した5G SA(Stanalone)ネットワークのこと。そのパフォーマンスを最大化するために「直近では、AIの分散強化学習によって基地局ごとのパラメーターの最適化を実施」するなどして、単に基地局数を増やすだけでなく質的な改善も進めている。
“KDDIだけ”のDual-Band Massive MIMO
佐藤氏は、ユーザー体感品質を向上させるために導入している新技術についても説明した。1つが、「Dual-Band Massive MIMO(DB-MMU)」だ。

DB-MIMOとHPUEの効果
これは、2つのSub6周波数を1つの基地局装置で同時利用する技術であり、3.7GHz帯と4.0GHz帯を持つ「KDDのみが可能」(同氏)。1つの周波数のみに対応した通常の無線装置に比べて、最大で2倍のユーザーが接続できるという。
無線装置の設置場所が限られる都市部において、1台の可搬型装置でDB-MIMOを展開できるのもKDDIの強みだと佐藤氏はアピールした。一時的に人が増えるイベントでの通信品質強化にも適しており、大阪・関西万博会場では、1Gbps以上の通信速度を記録したという。
もう1つが、High Power User Equipment(HPUE)だ。送信電力を最大2倍にすることで、通信を安定化させる技術である。ビルの密集地や地下といった電波の届きにくいエリアでの体感品質向上に役立つ。













