5G通信モジュール内蔵の超低遅延4Kカメラ「HLD-MC1000」(プロトタイプ)。販売予定価格は約300万円
「限られたスペースにも容易に設置でき、5Gの電波が飛んでいる場所であれば、すぐに接続できます」
映像伝送技術開発を手掛けるアイベックステクノロジー(以下、IBEX)の岩田明彦氏は、同社が2025年3月の発売を目指して開発を進める5G対応超低遅延4Kカメラ「HLD-MC1000」の利点を、こう説明する。
4Kや2K(HD)などの高精細映像では、カメラから送出される映像データレートが、4Kで12Gbps、2Kも1.5Gbpsと非常に大きくなる。
そこで、帯域が限られる5Gなどの通信回線や自営無線システムで高精細映像を送る場合は、H.265やH.264といった高度な符号化技術を用いて映像データを数100分の1に圧縮して送り、受信側でこれを伸張、高精細映像に戻す手法がとられる。
だが、圧縮伸張の過程で数100ミリ秒という大きな遅延が生じるため、即時性が求められる遠隔操作などのユースケースには使えないという問題がある。
この問題を解決したのが、IBEXが他社に先駆けて実用化した超低遅延映像伝送技術だ。符号化を工夫し、ハードウェアで実現することで、圧縮・伸張に要する時間を4Kで20ミリ秒、2Kでは10ミリ秒に抑えた。
開発中の4KカメラHLD-MC1000は電波の遮蔽性を考慮した樹脂製の筐体に、IBEXの4K超低遅延エンコーダ技術と、5G通信モジュール、そしてアンテナを内蔵した新タイプの製品だ。