アルバネットワークスは2012年3月5日、モバイルデバイスのBYODにフォーカスしたネットワークアクセス管理ソリューション「Aruba ClearPass」を発表した。
アルバネットワークス 取締役社長 松本洋一氏 |
BYODとはBring Your Own Deviceの略で、私物端末の業務利用のこと。iPhone/iPad、Androidの普及を背景に、日本企業においてもBYODの動きが加速している。アルバネットワークス取締役社長の松本洋一氏によると、同社の国内ユーザー企業の58%がスマートフォン/タブレットを業務で使用。BYODについても29%の企業で実施されているという。
国内企業のモバイルデバイス活用状況 |
「米国などでは70%程度であり、日本はまだまだ伸びしろがある。国内大手企業のトップの意識は大きく変化してきており、今後日本が追い越すポテンシャルもあるだろう」と松本氏は語った。IT部門は一般社員の私物端末持ち込みには「ノー」と言えても、幹部クラスにはなかなか言いづらく、「BYODはたいてい幹部クラスから始まる」(米本社最高マーケティング責任者のベン・ギブソン氏)ためだ。
また、CIOにとっても、BYODはメリットが大きいという。社員が利用するデバイスを会社側で購入する必要がなくなるからである。一方、負荷が高まるのは現場のIT部門だ。「セキュリティやコンプライアンスを担保しながら、いかにIT部門やヘルプデスクのコストを下げていくかがポイントになるが、この課題に対する答えがClearPassだ」とギブソン氏は説明した。
マルチベンダー環境で利用可能
ClearPassでは、社内ネットワークにアクセスするデバイスの設定や管理などを効率的に行うことが可能だという。
ClearPassは複数のソフトウェアから構成されるアプライアンス製品で、ソフトウェアとしてはVPNやメール、セキュリティ設定などのセルフプロビジョニング機能を提供する「Onboard」、デバイスとユーザーの特定を行う「Profile」、承認を受けた安全なデバイスかをチェックする“番犬”役の「OnGuard」、ゲストユーザー向けの管理機能である「Guest」、802.1x認証の自動設定を行う「QuickConnect」が用意されている。そして、これらを統合的に管理するのが「Policy Manager」だ。私物端末はアクセス権限を制限したり、マイクロソフトのUCソリューションLyncのトラフィックの優先度を上げたり、柔軟なポリシー設定が行えるという。
マルチデバイス、マルチネットワーク、マルチベンダーへの対応もClearPassの大きな特徴である。対応デバイスはiOS、Android、Windows Phone、Windows PC、Macなど。また、アルバというと無線LANベンダーとしてのイメージが強いが、無線LAN、VPN、有線LANの各種ネットワークをサポートする。さらにアルバ製品だけでなく、シスコ、ジュニパー、HP、モトローラなどマルチベンダー環境下でClearPassは活用可能だ。
BYOD対応のソリューションは最近、様々なベンダーから登場しているが、ギブソン氏がClearPassの特徴として最も強調した点の1つは「コスト」である。シスコ製品のアップグレードによりBYOD対応させるのと比べて、「最大76%の節約になる」とアピールした。
シスコ製品のアップグレードによりBYOD対応したケースとのコスト比較 |
ClearPassの販売価格は5000エンドポイントまで対応の最小構成で299万9000円~。4月から提供を開始する。