勝ち組に共通するスマホビジネスとは?――エムティーアイ小畑氏が明かしたマジョリティ層の攻略策

「ケータイとスマートフォンは、基本的には何も変わらない。キャズムを突破したスマホビジネスで重要なのはシンプルな戦略だ」。一般大衆層にまで広く普及し始めたスマートフォンビジネスの秘訣とは何か? エムティーアイの小畑陽一氏が「Simple is Best ~勝ち組に共通するスマホビジネスとは~」と題して行った講演の概要をレポートする。

「2011年までと今年以降のスマートフォンビジネスは、思いっきり分けて考える必要がある」――。エムティーアイの小畑陽一氏は、2012年1月18日に開かれたセミナー「スマホが切り拓く新マーケティング」(主催:リックテレコム、特別協力:日本マーケティング協会、モバイル マーケティング ソリューション協議会)でこのように強調した。

「music.jp」や「ルナルナ」などの人気モバイルサイトの運営で知られるエムティーアイは2010年からスマートフォンビジネスを本格化させているが、一体なぜ2012年を境に大きく変化するというのか。その根拠となっているのは、小畑氏が「マーケティング上、非常に重要な意味を持っていると確信していた」とした“2000万”という数字だ。

7割のマジョリティ層がスマホ市場の中心に

ハイテク業界におけるマーケティング理論の古典に「キャズム理論」がある。アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にはキャズム(深い溝)が存在し、この溝を超えたものだけが広く普及するというのが、キャズム理論の骨子だ。

先進ユーザーの支持は得られても、いわゆる“普通のユーザー”に受け入れられるかは分からない。その間には深い溝があるというわけだが、小畑氏によると「日本の人口=ケータイ人口と考えたとき、実は2000万ぐらいがこの溝にあたる」という。そして、昨年の冬くらいから、“普通のユーザー”がスマートフォンを持ち始めた。つまり、キャズムを突破したスマートフォンは、従来のイノベーター層とアーリーアダプター層を合わせた16%の人たちの市場から、68%いるマジョリティ層を中心とした市場へと転換し始めたのである。

キャズムを超えたことで、スマートフォンビジネスは16%のイノベーター/アーリーアダプター層がけん引する市場から、68%のマジョリティ層中心の市場に一変する
キャズムを超えたことで、スマートフォンビジネスは16%のイノベーター/アーリーアダプター層が牽引する市場から、68%のマジョリティ層中心の市場へと一変する

「今まではイノベーターたちが市場を作っていた。おそらく今後もその影響力は大きいと思う。しかし、僕たちのビジネスターゲットは約7割いるマジョリティだ。このマジョリティ層のニーズに応えていくのが仕事と考えたとき、これまでの常識を一度すべて捨てて、『スマートフォンビジネスは今からスタートするんだ』という姿勢で臨むのが得策なのではないか」

小畑氏はこう述べたうえで、「16%のユーザーに響くものと、7割のユーザーに響くものは本当にイコールなのか、ということを考えていく必要がある」と付け加えた。

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