<特集>ローカル5Gシステム徹底比較「コスパ」でローカル5G市場を開拓 存在感高まる台湾・韓国ベンダー

ローカル5Gが普及するうえで重要な要素の1つが、導入コストの低廉化だ。コストを抑えつつ高い品質を備えた台湾や韓国ベンダーのローカル5Gソリューションの存在感が高まっている。

ここ数年、ローカル5Gソリューションを手掛ける台湾ベンダーが相次いで日本市場に参入している。

台湾では、内閣と各省庁を併せた存在である行政院が、2019年に「台湾5G行動計画」を発表。2022年までの4年間に約800億円という巨額の費用を投じて、5Gの普及や関連産業の創出、人材育成を推進してきた。

台湾5G行動計画にはローカル5Gに関する政策も含まれており、ここ数年、製造業を中心にローカル5Gの導入が進展した。現在は、政府主導で2021年からローカル5G技術の海外展開を後押ししていることが背景にある。

ローカル5G(プライベート5G)は日本以外にも米国や英国、ドイツ、韓国などで制度化されており、それらの国々にも台湾ベンダーは進出しているが、「日本のローカル5G市場は、参入ハードルがより低いことが魅力」とHTC NIPPON ディレクターの川木富美子氏は話す。

HTC NIPPONディレクター 川木富美子氏

HTC NIPPON ディレクター 川木富美子氏

というのも、台湾でローカル5Gに割り当てられている周波数は、日本のローカル5Gと同じ国際バンドn79(4.5~4.9GHz)である。また、日本で無線通信機器を販売する際、電波法令で定める技術基準に適合していることを証明する「技適」を取得する必要があるが、台湾にも同様の制度があり、測定する項目や提出する資料など求められることが似ているからだ。「台湾で作った製品にあまり手を加えることなく日本に持って来ることができ、技適も通りやすい」(川木氏)という。

VRと組み合わせて展開

それでは、台湾ベンダーはどのような特徴を持ったローカル5Gソリューションで日本市場を開拓しているのか。

Quanta Computerの子会社Quanta Cloud Technology(以下、QCT)は2014年に日本法人を設立、2021年からローカル5Gソリューション「QCT OmniPOD エンタープライズG」(以下、OmniPOD)を展開する。

OmniPODは、5GコアからRANまでをオンプレミスで提供するソリューション(図表1)。RAN接続用のデータスイッチと5Gコアサーバーをそれぞれ2台ずつ用意しており、「冗長化設計により、障害が発生しても15秒以内に切り替えられる。工場では短時間でも生産ラインが止まると莫大な損失が発生するが、OmniPODであればサービスを継続することができる」とQCT テレコム事業部 ビジネス開発スペシャリストのCarrie Hsieh氏は説明する。

図表1 「QCT OmniPOD」の全体イメージ

図表1 「QCT OmniPOD」の全体イメージ

OmniPODは、下りと上りに使用する周波数リソースの比率を変更できる「準同期」にも対応しており、下りと上りを4:4で運用した場合、上り最大300Mbpsの高速通信が可能だ。また、機器と一緒にGUIベースの運用管理ツール「QCT OmniView」も提供するので、導入後の運用負荷が軽減される。

国内では、スマート農業やスマートシティのPoC案件の実績があるという。

端末メーカーHTCの100%子会社で、O-RANに準拠した5G RANソフトウェアソリューションを中心に展開しているHTC G REIGNSは今年6月、日本のローカル5G市場に参入した。

同社が日本市場向けに投入する「REIGN CORE S2」は約610×575×155mmとスーツケースほどの大きさに、5GコアネットワークやBBU(ベースバンド装置)などローカル5Gの構築に必要な機能が集約された一体型。約30分でセットアップが完了するので、手軽にサービスを始められる。

「REIGN CORE S2」はスーツケースほどの大きさに、ローカル5Gの構築に必要な機能が集約されている

「REIGN CORE S2」はスーツケースほどの大きさに、ローカル5Gの構築に必要な機能が集約されている

HTC G REIGNSが強みとするのが、仮想RAN(vRAN)テクノロジーだ(図表2)。

図表2 HTC G REIGNSのvRANテクノロジー

図表2 HTC G REIGNSのvRANテクノロジー

「他社との大きな違いとして、我々はレイヤー1~3を自社開発している。このため上りと下りの比率など、パラメーターをユースケースに合わせて変更し、最適化することができる」(川木氏)。

REIGN CORE S2は、米国や欧州などプライベート5Gを採用している国ですでに提供されており、VRを用いた警察官のトレーニング、ドローン配送、展示会場の無線化などに活用されている。

日本では、REIGN CORE S2をVRのデバイスやソリューションと組み合わせて展開し、ゲームセンターや商業施設への導入を目指したいという。

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