アイコム、“世界初”海上用無線とLTE両対応のIPトランシーバー

アイコムは2023年11月15日、アナログ無線(国際VHF無線)による海上用通信と、携帯電話の高速通信規格(LTE)の双方を利用できるIPトランシーバー「IP-M60」を2024年3月に発売する予定と発表した。

IPトランシーバー「IP-M60」

国際VHFは、海上で船舶が安全に航行するために、他船や港湾と通信ができる世界共通の無線通信システム。これを利用する船舶用のトランシーバーの運用は、原則として船舶の航行中や入港中のみに限られる。そのため、停泊後の貨物の荷渡し時や所属する海運会社などへの連絡には、通信陸上業務用無線周波数を使用するトランシーバーが使われることがあったが、直接電波が届く範囲でしか通信ができないという弱点があった。

IP-M60は、陸上用の通信としてLTE無線を利用するため、携帯電話の通話エリア内で距離のある事務所や物流拠点などともボタンひと押しで連絡を取り合うことができる。PTTボタン(送信ボタン)を2つ装備し、ボタンを押し分けることで海上通信(国際VHF)と陸上通信(LTE)の送信を切り替えが可能だ。受信時は、特段の操作なく海上用・陸上用両方の通信を受けられる。航行の安全に関する連絡と業務連絡のどちらも行いたい港や国際河川、運河の近辺で、特に便利に利用できるという。

「IP-M60」の利用イメージ

「IP-M60」の利用イメージ

同社によれば、海上用のアナログ無線と、陸上用のIPトランシーバーの機能を1台に収めた「ハイブリッド型」のIPトランシーバーは世界初だという。2台分の通信機能を有しながら、回路設計や構造部品の工夫により幅61.7×高さ140.5×奥行き42.8mm、約320 gの小型軽量化に成功したとしている。

販売はヨーロッパ20か国以上と、アメリカ、中東、アフリカで2024年3月から順次開始し、その後、カナダ、オーストラリアに展開する予定。港湾での大型船舶の入出港や荷役作業をサポートする船舶のほか、陸上の救急救命機関との連携が必要なレスキュー艇などによる需要を見込み、年間で数千台規模の販売を目指すとしている。

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