NTTドコモは2011年11月2日、2011年度第2四半期決算の席上、「中期ビジョン2015~スマートライフの実現に向けて~」を発表した。
同社は昨年、2020年までの10年間のビジョン「HEART~スマートイノベーションへの挑戦~」を発表したが、中期ビジョン2015はその実現に向けた確実なステップと位置づけている。
中期ビジョン2015は、「モバイルのサービス進化に向けた取り組み」「産業・サービスの融合による新たな価値創造の取り組み」という2つの柱からなる。これらの取り組みをドコモのクラウドで加速させ、暮らしやビジネスがより安心・安全で便利・効率的になることで、より充実したスマートライフの実現を目指すとしている。
モバイルのサービス進化に向けた取り組みでは、スマートフォンでもiモード端末と同様のサービスを展開し、独自のコンテンツポータル「dメニュー」、直営コンテンツマーケット「dマーケット」を提供する。このほか、1つのIDでスマートフォンやタブレット、PCなど複数の端末を利用するマルチデバイス、電話帳とSNSの連携などサービスの進化を図る。
サービスの進化に合わせて、フィッシング対策や遠隔サポート、青少年向けの機能制限などセキュリティやサポート体制も強化する。
2015年度にスマートフォンの契約数は4000万契約、Xiの契約数は3000万契約を目指している。スマートフォンやXiへの移行を促進することで、パケット収入を2011年度の約1.8兆円から2015年度は約2.7兆円まで増やす計画だ。
スマートフォンへの移行は、トラヒック増も伴う。ドコモでは2015年度に現在の約12倍まで増大すると予想しており、Xiへの移行促進や新周波数帯の利用、小ゾーン化などで対応する。また、1%のユーザーが3割のトラヒックを利用していることから、こうしたヘビーユーザーに対する通信速度制御を実施する。さらに、公衆無線LANサービス「Mzone」のアクセスポイントを2012年度上期までに3万スポットまで拡大、将来的には10万スポットまで広げるほか、フェムトセルや宅内Wi-Fiを活用する。
一方、産業・サービスの融合による新たな価値創造の取り組みでは、さまざまな事業領域とICTを組み合わせることで、新たな価値の創出を目指す。
具体的には、放送や音楽、書籍などのメディア・コンテンツ事業は2011年度の700億円から2015年度は約3~5倍に拡大、「DCMX」「ワンタイム保険」などの金融・決済事業は1800億円を約1.5倍に拡大などとなっている。
こうした取り組みを支える基盤となるのがクラウドサービスで、コンシューマー向けの「パーソナル」クラウド、法人向けの「ビジネス」クラウド、さらにドコモの造語であるネットワーククラウドの3つからなる。このネットワーククラウドは高度は情報処理や通信処理を行うことでさまざまな付加価値を提供するもので、通話中の同時通訳などのサービスが可能になるという。