2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを実現するため、多くの企業が温室効果ガス(GHG)の削減に取り組んでいる。
企業における削減策には、石油・石炭から再生可能エネルギーへの転換、業務用車両のエコカーの導入、オフィスの照明設備の運用改善などがある。
ただ、製造業や鉄鋼業などのようにGHG排出量の多い業種では、どれほど削減策に努めても限界がある。そこで注目を集めているのが、カーボンクレジットだ。
カーボンクレジットとは、森林の保護や植林、省エネルギー機器導入などによるGHG削減効果を排出権(クレジット)として発行し、企業間で売買できるようにした仕組みのこと。GHG排出量を削減する努力をしたものの、削減しきれない排出量についてはカーボンクレジットを購入することで、全部または一部を埋め合わせた(カーボンオフセット)と見なされる。
国内では2013年、カーボンクレジットを国が認証するJ-クレジット制度が始まった。
図表1 J-クレジット制度の概要
J-クレジット制度が定めるクレジットの方法論は、省エネ、再生可能エネルギー、工業プロセス、農業、廃棄物、森林の6分野で計71種類がある。それぞれに適用範囲、排出削減・吸収量の算定方法、モニタリング方法などが規定されている。
また、民間セクターやNGOなどが主導するボランタリークレジットもある。
ただ、国内では発行量自体が少なく、これからという状況だ。そうした中で通信事業者各社は、IoT技術の活用によるカーボンクレジット創出に向けて動き出している。