東芝インフラシステムズ、首都高速でのローカル5G分散型アンテナ適用を実証

東芝インフラシステムズは2023年9月14日、首都高速道路におけるローカル5Gの電波伝搬等や、ソリューション創出を目的とした実証実験の成果を発表した。

首都高速道路上の照明柱に設置した指向性アンテナとDAS子機

首都高速道路上の照明柱に設置した指向性アンテナとDAS子機

実証実験は総務省が公募を行った令和4年度「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」。同社は首都高速道路を代表機関とするコンソーシアムメンバーとして参加した。2022年10月から2023年2月の約5か月にわたり、首都高速道路上でローカル5Gの電波伝搬等に関する技術的検討を行う「技術実証」と、ローカル5Gを活用したソリューションを創出することを目的とした「課題実証」を行った。

技術実証では、同社独自の分散型アンテナシステム(DAS:Distributed Antenna System)の有効性を実証したという。DASは基地局からの信号を複数のDAS子機へ分散させることで細やかな無線エリア構築を実現する技術であり、首都高速道路上のカーブ区間において他者土地への電波漏洩を抑え、線状エリアへのDAS適用の無線エリア設計手法を確立したとしている。

また、DAS設置エリアでの電波測定結果から、屋外での複数DAS子機利用において無線干渉を抑制し、広いカバーエリア内でシームレスかつ安定した通信品質を確認したことも合わせて発表した。

課題実証では、スマートグラスの点検業務支援システムを構築した。ローカル5Gの高速大容量通信という特徴を活かし、点検現場での大容量の手順書ダウンロードと映像・音声の双方向通信による作業効率化を検証した。書類の持ち運びが不要になったことによる作業負荷軽減と、音声認識を用いた作業結果自動入力により、1回あたり1時間要している作業報告書作成の効率化が期待できるという。

現場作業者や走行する道路パトロール車から、高精細な4K映像で現場状況をリアルタイム伝送する実証も行った。視認性が高い高精細の4K映像を用いることにより、交通管制室のオペレータは特殊車両の出動有無の判断がしやすくなり、応援要請を受けた現場作業者は的確な準備を行うことができることがわかったとしている。この成果は、道路や河川、電力プラントなどのインフラ施設の維持管理の自動化・省力化につながることが期待される。

首都高速道路上で撮影した、災害時に点検対象となる道路のジョイント部分

首都高速道路上で撮影した、災害時に点検対象となる道路のジョイント部分

同社はこの実証結果を基に、DAS活用による歪曲した線状エリアや複雑な構造物環境での効率的かつ柔軟なエリアカバーの実現と、スマートグラスや高精細映像共有システムによる維持管理業務の効率化・省力化の実現に貢献していくことを目指す。

なお、実証実験に用いたローカル5G DASは今年12月の出荷を予定している(参考記事:東芝インフラシステムズ、ローカル5G対応分散型アンテナシステムを販売開始|BUSINESS NETWORK)。

関連リンク

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

FEATURE特集

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。