auスマホがStarlink衛星と“直接接続” 2024年内にサービス開始へ

KDDIはStarlinkを活用したサービス提供を進めてきたが、次なる一手はスマホとの直接接続だ。2024年内にはauスマートフォンとStarlink衛星との直接接続によるサービスを提供し、日本全土で通信の利用が可能になる見通しだ。スペースXの幹部も来日して登壇した会見をレポートする。

KDDIとSpace Exploration Technologies Corp.(以下、スペースX)は2023年8月30日、東京・有楽町のプラネタリアTOKYOで共同会見を開き、auスマートフォンをStarlinkの衛星に直接接続する通信サービスの提供に向け業務提携したことを発表した。

握手するKDDI 髙橋誠氏(左)とスペースX Tom Ochinero氏

握手するKDDI 髙橋誠氏(左)とスペースX Tom Ochinero氏

会見にはKDDI 代表取締役社長 CEOの髙橋誠氏が登壇し、auは2つのこだわりを持ってエリア設計を進めてきたことを紹介。1つは生活動線に従ったエリア設計で、これにより99.9%を超える人口カバー率を達成した。もう1つのこだわりは「非日常をつなげる」ことであり、山や離島、野外フェス、災害時などにおける、Starlinkをau基地局のバックホールとした通信の提供はこれにあたる(参考記事:KDDI、Starlinkによる5G基地局運用を初めて開始 乗鞍岳バスターミナルで|BUSINESS NETWORK)。

まずはSMSからサービス提供

「人口カバー率は99.9%超になったが、面積カバー率は60%程度。これをなんとかしたいと思った」と髙橋氏は続け、「エリアカバーの新次元」を実現するために今回の新たな業務提携に至ったと説明した。1万6667の山々、1万4125の島々を有する日本の可住地面積率は33%と、6割程度の欧米と比較すると狭い。基地局の設置が難しい地域では携帯電話のデッドスポットが多く残っているのが実状であり、これを日本全土をカバーする衛星とスマートフォンの直接通信によって解決することを狙う。

今回の提携のコンセプト。写真下部はKDDI 髙橋誠氏

今回の提携のコンセプト。写真下部はKDDI 髙橋誠氏

「日本のどこにいても、つながらないがなくなるように」「空が見えれば、どこでもつながる」というキャッチフレーズのとおり、山間地や島しょ部、海上などの日本全土において、空が見える状況であれば地上から550kmの高さにあるStarlinkの低軌道衛星と接続できるため、auの圏外エリアでもauスマートフォンでの通信が可能となるという。衛星との通信には既存の周波数帯を利用するため、auスマートフォンをそのまま使用することができる。特別なアプリやハードウェア等は必要としないとしている。

サービスのイメージ(出典:KDDI資料)

サービスのイメージ(出典:KDDI資料)

2024年内を目途にSMSなどのメッセージ送受信から開始し、その後Starlink衛星のケイパビリティに応じ、順次音声通話、データ通信に広げていく予定だ。サービス提供は電波関連法令の整備に基づいて行われるため、KDDIは技術実証と合わせ調整を進める。

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