実は、NFCにとって最大の課題の1つと言えるのは、対応リーダー/ライターの問題である。NFC先進国と思われている韓国でも、店舗などに実際に置かれているリーダー/ライターの多くはまだType Bのみに対応したものだ。これはVisaのVisaWaveやマスターカードのPayPassがTypeBを採用しているためだが、今後NFC対応スマートフォンなどが普及していくと、Type A、Type B、ISO 14443、ISO 15693など、あらゆる方式を扱えるようになる。そうなれば、店舗側でも様々な方式に対応したリーダー/ライターを設置していく必要が出てくる。
Visa Wave/PayPassに対応した非接触型リーダー/ライターの例。Type Bに対応する。韓国国内に現在、約10万台が設置されているが、まだNFCはサポートしない。今後NFC対応へアップグレードされる模様 |
かつて日本ではiD用、QUICPay用、Edy用など、レジの上に4~5個のリーダー/ライターが並ぶ光景が見られたが、ユーザーはもちろんのこと店舗にとっても、こうした状況は望ましくない。
今年末までにNFCリーダー/ライターの「統一規格」策定
このような懸念から韓国では6月6日、NFC関連ビジネスの活性化とリーダー/ライターの標準化を目的に「Grand NFC Korea Alliance」が設立された。携帯電話事業者、クレジット会社、端末メーカーなど韓国の主要各社と関係政府機関が参加しており、今年末までに韓国としての統一規格を策定、それに準拠したリーダー/ライターを設置していく予定である。世界に先行して「標準化」を行うことで、韓国製NFC対応リーダー/ライターを世界市場に売っていこうという戦略だ。当然メンバーには、サムスン電子とLGエレクトロニクスも名を連ねている。
統一規格が制定され、すべてのNFCサービスに1台で対応できるリーダー/ライターが各店舗に普及していくことになれば、韓国は真のNFC先進国となるに違いない。