スマートフォン/タブレット型多機能端末でビジネス改革[第2回]――営業・販売のワークスタイルを変える

スマートフォン/タブレット型多機能端末をビジネスに活用するためのポイントを解説する本連載。今回は、営業・販売の領域における活用のポイントをCRMの観点から分析していく。

3. 組織・人の改革

冒頭で、次世代情報端末によって企業と顧客のつながりが強化されることを説明した。これと同様に、企業内の従業員間の関係も次世代情報端末により強化することが可能である。「組織・人(HR)」の領域から、「組織(H-1)」、「人(H-2)」、「コミュニケーション(H-3)」の3項目に注目して説明すると、図表5のようになる。

図表5 スマートフォン/タブレット端末活用のポイント(組織・人)
図表5 スマートフォン/タブレット端末活用のポイント(組織・人)

「組織(H-1)」は、業務を効率的に遂行する上で必要な体制、ルール、文化を規定する。従業員が社外で業務を行うことを促進するルールや社内の文化を醸成する必要がある。「人(H-2)」は、個々の従業員のスキル、評価制度、キャリアパスなどを規定する。

次世代情報端末が効果を発揮するのは、特に人財の育成の面である。電子化した商品カタログや業務マニュアルを端末に入れることで、隙間時間を活用して従業員が学習できる仕組みを整えることができる。次世代情報端末向けのe-learningなども効果的である。

「コミュニケーション(H-3)」では、人と人をつなぐ縦横のコミュニケーション手段を規定する。ここでは、ミニブログやQ&Aコミュニティといった社内に閉じたソーシャルメディアが効果を発揮する。

すでに、Twitterのようなミニブログによってリアルタイムに社内の情報共有を行っている企業も出てきている。他にも、コンテンツ管理やFAQなどのナレッジマネジメントの仕組みを、次世代情報端末から利用できるようにすることでその効果が飛躍的に向上する。これにより営業力の底上げが期待できる。

総括

このように、次世代情報端末は、ビジネスの「戦略」「業務」「組織・人」の在り方を変えるほどのポテンシャルを持っている。単に便利なツールとしてだけではなく、ビジネス改革を引き起こす要因の1つとして捉え、その特性を理解した上で、営業・販売の業務領域における活用方法を模索することが重要である。

【次回予告】

次世代情報端末をビジネスで活用するに当たって、「戦略」「業務」「組織・人」を支えるための「システム」は欠かせない。しかし、専用アプリケーションの開発や社内システムとの連携、端末の運用管理など、システムには多くの技術的な課題が残っている。次回は、次世代情報端末の特性をビジネスで最大限に活用するためのシステムの要件を示し、その実現方法を提案する。

月刊テレコミュニケーション2011年5月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

中西栄子(なかにし・えいこ)
日立コンサルティング シニアマネージャ。CRM領域における業務改革・システム改革、最新IT技術に関わる新規事業立上げなどを中心としたコンサルティング業務に従事。通信業界・製造業界・インターネット業界などのクライアントを対象とし、多数のプロジェクトを統括してきた。現在「次世代情報端末・活用コンサルティング」をリード

小宮大輔(こみや・だいすけ)
日立コンサルティング コンサルタント。新規事業に関する市場分析やSaaS領域におけるコンサルティング業務に従事。現在は次世代情報端末・活用コンサルティング業務に携わる。「次世代情報端末の市場動向と市場ニーズ」「次世代情報端末の活用について」などのテーマで講演・セミナ講師も務めている

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