「仮想デスクトップ環境ばかりが注目されるが、テレワークを成功させるにはコミュニケーションも重要だ。仮想化技術とコミュニケーションの融合が必要になる」(ネットワンシステムズ ビジネス推進グループ 技術本部 ソリューション技術部 部長 松本陽一氏)
ネットワンシステムズは2011年6月27日、「仮想デスクトップとユニファイド・コミュニケーション(UC)により実現する新ワークスタイルと当社のテレワーク導入に関する勉強会」と題する記者会見を開いた。同社は今年4月にテレワーク制度を全社導入し、ワークスタイルの変革を進めているが、その実現を支えるICTツールが仮想デスクトップとUCの2つだという。
ネットワンシステムズ ビジネス推進グループ 技術本部 ソリューション技術部 部長 松本陽一氏 |
松本氏によれば、ワークスタイル変革への関心が企業の間で高まっている技術的背景としては、仮想デスクトップ実現の必要条件であるWANの高速大容量化、ビデオ活用の普及、スマートフォンやタブレット等のデバイスの多様化の進展などが挙げられるという。「今まではツールやデバイスが追い付いていなかったが、いよいよ場所に囚われない働き方が本格的にできるようになった」。さらに東日本大震災の発生を受け、生産性向上や育児・介護、ワークライフバランスだけでなく、BCP(事業継続計画)の観点からもテレワークに脚光が集まっており、「いつでも、どこでも、どんなデバイスでも、どんなコンテンツでも」という切り口で仮想デスクトップとUCの提案を進めているそうだ。
ネットワンの提案では、デスクトップ環境やコミュニケーションインフラをデータセンターに集約。ネットワークにつながれば、いつでもどこでも同じように働ける「仮想ワークスペース環境」を実現する |
仮想デスクトップの利点は、社内/社外や利用するデバイスに依存せず、同じデスクトップ環境を活用できる点だ。また、データはデバイスに残らずセンター側に保存されているため、情報漏洩のリスクも低い。
デスクトップ環境を仮想化しデータセンターに集約することで、データの整合性は高く、情報漏洩のリスクは低くできるという |
仮想デスクトップ導入時の注意点として松本氏が指摘したのはエンドエンドで適切に設計することである。「ネットワークだけチープだとボトルネックになる。また逆にネットワークは大丈夫だが、サーバーとストレージがパワー不足で動かないというケースもある。我々はもともとネットワークに強く、現在ではサーバーやストレージまでトータルで手がけている。そのため手前味噌になるが、ユーザーから仮想デスクトップの話を頂くことが最近多くなっている」と自社の優位性をアピールした。
冒頭のコメント通り、松本氏はテレワークにおけるコミュニケーションの重要性も再三にわたって強調した。「ただ単に仮想デスクトップにすればいい、という話ではない。自宅とオフィスなど遠く離れた場所で働く人たちが、どうやってコミュニケーションしていくのか。社内外で会議の開催・運営を行うための仕組みが必要になる」。そこでネットワンが活用しているのが、IP電話やIM、プレゼンスなどが統合された「Cisco Unified Personal Communicator」(CUPC)やWeb会議の「Cisco WebEx」である。
ネットワンが提案しているコミュニケーションツール |
また、「意外とネックになりかけた」というのが、部門の代表番号への電話や、在宅勤務中に会社にかかってきた個人宛ての電話の扱いとのこと。ネットワンでは、050番号を1人ひとりの社員に割り当てることなどにより解決したそうだ。自分宛てに外線/内線がかかってくると、オフィスの自席にあるIP電話機と携帯電話の両方が同時に鳴る仕組みにしている。
テレワーク実現に向けた課題の考察 |