個人持ちiPhone/iPadもセキュアに業務活用 ―― アルバが新ソリューション「Aruba MOVE」を発表

「誰が、どの端末を使って、何をしているのかをネットワークが自動認識して最適なポリシーと帯域を割り当てる」――。アルバがモバイル端末のセキュリティを効率的に管理する新アーキテクチャ「Aruba MOVE」を発表した。個人持ちのiPhoneやiPadも安全に業務で活用できる環境が構築できる。

「アルバの“MOVEアーキテクチャ”があれば、企業のIT担当者は、スマートフォンやタブレットなどの新たなモバイルデバイスを活用したいというエンドユーザーからの要求に応えることができる」

アルバネットワークスは2011年6月22日、iPad/iPhoneを企業ネットワーク上で活用するための新アーキテクチャ「Aruba MOVE」と、これをベースとしたネットワークアクセスソリューションを発表した。同社・ソリューションマーケティング部長のマナヴ・クーラナ氏は、個人所有のスマートフォンやタブレット端末を業務に使いたいというニーズが急速に立ち上がり、企業のIT担当者がその要求への対応に苦慮している現状を指摘。「モバイルデバイスも、そこで使うアプリも、さらにサービスの利用形態もクラウドへと移行している。すべてが変化しているにも関わらず、ネットワークだけが旧態依然のまま」であることを企業のモバイル活用を阻害する要因として挙げ、アクセスネットワークの変革の必要性を訴えた。

アルバネットワークス・ソリューションマーケティング部長のマナヴ・クーラナ氏 多様なデバイスとクラウドの浸透などにより、エンタープライズにおけるモバイル利用は大きく変化している(クリックして拡大)

コンテキストアウェアなネットワークを実現

「Aruba MOVE」は、社員が個人で所有する端末も含めて、多様なモバイルデバイスをセキュアに企業ネットワーク上で利用し、かつ効率的に管理することを目的としたものだ。具体的には、セキュリティ確保と端末管理機能を強化した新OS「ArubaOS 6.1」と、アップルのiOS端末に対応するアクセスコントロールソリューション「Mobile Device Access Control(MDAC)」により実現する。

スマートフォンやタブレット端末を活用して業務効率を向上させるには、社員個々の業務に適した端末を展開し、かつ、状況に応じた柔軟なネットワークアクセス環境の整備が必要になる。端末とネットワークへの投資だけでなく、運用管理負荷の増大によるコスト高も企業にとって大きな負担だ。

こうした課題を解決するための対策として、Aruba MOVEではまず、有線と無線、あるいは本社とリモートサイトあるいは社外からのリモートアクセスなど、利用する端末やアクセスする際の状況に応じてサイロ化されていたネットワークサービスを共通化するというアプローチを取る。新たに提供を開始する「ArubaOS 6.1」で実現するもので、セキュリティの確保、端末管理等の機能をデータセンターに統合。そのうえで、「クラウド化したこれらのモビリティサービスを提供することで、端末からのアクセスを“シン・アクセス化”してコストを削減することができる」とクーラナ氏は話す。端末の追加やポリシー変更などの管理を一元化することができる。

従来型ネットワークが抱える課題(クリックして拡大) Aruba MOVEが実現する「コンテキストアウェアなネットワーク」(クリックして拡大)

そして、ネットワークにアクセスするユーザー、端末、場所、利用するアプリを「ネットワークが把握し、コンテキストに合わせた帯域とポリシーを割り当てられる」のがAruba MOVEの最大の特徴だ。これを実現するのが「MDAC」である。例として、個人所有の端末は本社の建物内と自宅でのみアクセスを許可する、あるいは、ゲストユーザーが持ち込んだiPadに対して、会議室内でのみストリーミング配信の映像視聴を許可する、といった細やかな運用が可能になるという。個人所有の端末も、アクセスした際にネットワーク側がそれを認識し、プロファイルを自動構成して適用する。

アルバは、これらのアーキテクチャを搭載した製品群として、5種類のハードウェア製品と、3種類のソフトウェア製品をリリースする(下記写真参照)。従来は別系統で管理していた無線・有線系のネットワークを統合するアクセススイッチ「Aruba S3500 Series」や、無線・有線端末を一元管理するためのコンソール「AirWave7.3」も含まれており、これらで構成される「Aruba MOVEソリューションにより、アクセスネットワークの総コストを最大で70%削減できる」とクーラナ氏はまとめた。

Aruba MOVEアーキテクチャを搭載した新製品として、ハードウェア製品5機種、ソフトウェア製品3種を提供開始する(クリックして拡大)

震災後の企業マインドにも合致

Aruba MOVEの発表に続いて、アルバネットワークスの松本洋一社長が登壇し、国内市場の現状と展望について説明した。同氏によれば、国内企業は従来からスマートフォンやタブレット端末に対して大きな関心を寄せていたが、東日本大震災後、その傾向が加速しているという。多くの企業が在宅勤務制度の導入を具体的に検討し始めるなど、勤務スタイルが多様化する方向にあり、それを実現するためにモバイルデバイスとクラウドの活用に本腰を入れ始める企業が増えている。

アルバネットワークスの松本洋一社長

これを促進する鍵となるのが、個人所有端末の有効利用だ。社員に多様なデバイスを展開するには、端末の購入コストがまず大きな障害となる。個人所有のスマートフォンやタブレット端末を業務に活用できる環境を整えることで、低コストかつ短期にモバイルデバイスを展開できる。

社員が個人所有の端末も含めて最適なデバイスを選び、企業ネットワークにアクセスして業務を行う、こうした新しい潮流は「BYOD(Bring Your Own Device)」と呼ばれ、欧米で先行して広がりつつある。ただし、従来の国内企業の考え方から言えば受け入れ難い考え方とも言えるだろう。松本氏によれば、同社の顧客企業でも「最初は難色を示すケースが多い」という。

そうした傾向に変化が見られるようになったのが、東日本大震災以後だ。前述した通り、勤務形態の多様化は企業にとって喫緊の課題となり、すでに社員が自発的に個人の端末を業務に利用している現状も背景となって、個人持ち端末の活用を前向きに検討し始める企業が増加しているようだ。その後押しとなっているのが、端末購入費の削減効果だ。また、「震災後に、ものを大切にしよう、無駄を排除しようという考え方が浸透してきたことも背景にある」とし、こうした企業マインドの変化に即応して「生産性向上を実現するソリューションとしてAruba MOVEのメリットをアピールしていきたい」と話した。

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