1.マイナンバーカードと郵便局
マイナンバーカードは、個人番号を証明するだけでなく、本人確認のための公的な身分証明書となるものだ。通信回線と文書等の発行ができる環境があれば、マイナンバーカードによって、各種証明書の交付を受けたり、行政手続の申請をしたりすることができる。
郵便局は、その環境を提供できる身近な存在だ。地域の住民サービスの担い手として見るときには、次の点が有用性として重要である。
第一に、その拠点性が挙げられる。郵便局は、全国津々浦々に窓口拠点として維持されている。特に過疎地では、人口減少の中、郵便局が最後の「常勤の社員がいる事業拠点」となりつつあり、その窓口拠点としての機能が活用できる。
第二に、その人材の有用性がある。従来から、郵便局員は地域において、住民からの顔の見える関係を形成してきた。それを受けて、後述する郵便局事務取扱法において、自治体の事務を受託することが可能とされるなど、公共的な事務を行う役割が与えられている。それによって、サービスを受ける住民への実地におけるサポートが期待できる。
第三点は、郵便局舎という物理的な基盤の存在だ。これが様々な公共事務に利用できる潜在性を持っている。
第四に、郵便局は、日々平均して2軒に1軒の割合で各世帯・各事業所に配達をするネットワークを有しており、これを活用することができる。
住民サービスは、しばしば、証明書を文書やカードの形で交付することで行われるが、マイナンバーカードとICTを利活用することで、身近な郵便局で行うことができないか。
本稿では、そういった見地から、マイナンバーカードと郵便局の活用の拡大に向けた取組について紹介する。