ソフトバンクテレコムとKTがデータセンター事業で提携――9月に合弁会社設立

ソフトバンクテレコムと韓国KT Corporationは2011年5月30日、データセンター事業において提携し、9月に合弁会社「ktSB Data Services」(仮称)を設立することを発表した。出資比率はKTが51%、ソフトバンクテレコムが49%。この提携により、東日本大震災後のデータセンター需要の急増に応えるとともに、国内での広域災害のバックアップ体制を強化し、企業の事業継続計画(BCP)および産業復興を支援する。

合弁会社「ktSB Data Services」(仮称)を韓国に設立

10月に韓国・釜山に新たなデータセンターを設立。電力容量規模はフェーズ1で6000kW、フェーズ2で2万kWの予定で、6000kWで約1万台のサーバーが稼働するという。ソウルにあるKTの既存データセンターも利用し、2拠点合わせて約1000ラックが提供できる体制を整える。

ソフトバンクテレコムの孫正義社長は、提携の背景について「今般の東日本大震災がきっかけだった」と明かす。「想像したくない可能性だが、もし今後、福島以外で原発の事故が発生したら、すべての原発を止めることになるかもしれない。そうなると、バックアップ用のデータセンターが福岡にあっても、北海道にあっても安心はできない。本当にBCPを考えるなら、日本の外に(バックアップのデータセンターを)持つことが重要」という。

KTをパートナーに選んだ理由としては「韓国最大の通信会社であり、固定通信1位、データセンター1位の実績がある」という。韓国にデータセンターを持つメリットとしては、(1)距離の近さ、(2)電気料金の安さ、(3)ICTの先進性を挙げた。

(1)については、データセンターを新設する釜山までは、飛行機で東京から約2時間、福岡からは1時間弱で行ける近さ。両社は韓国と九州の間に10Gbpsの大容量海底ケーブルを2本増強し、東京-釜山間を遅延30ms以下で結び、国内と同等の高速性を実現する。(2)では、韓国の1kWh当たりの産業用電気料金が日本の半分であることを示した。(3)は、韓国の企業のICT利活用は世界3位であり、ICT総合進展度では1位であることを挙げた。

海外のデータセンターを利用するうえで、ユーザーは情報セキュリティや個人情報保護、日本語対応などの点で懸念を示す。これに対しては、韓国と九州を閉域ネットワークで接続してセキュリティを確保。個人情報保護は日本の法制度に準拠するとし、日本語での24時間365日対応も実施する。また、ISMSやISO9001等の主要な品質認証を取得済みという。

海外データセンターを利用するうえでの企業の懸念を解決

合弁会社設立に先立ち、ソフトバンクテレコムは7月から、KTとの協業によるデータセンターサービスを開始する。まず、コロケーションサービスを始め、秋にはバックアップサービスやVDI(Virtual Desktop Infrastructure)の提供も開始する。

KTの李錫采(イ・ソクチェ)会長兼CEOは、「我々のIDCやクラウド・コンピューティングの能力は世界トップクラスと言われていたが、今回の提携はそれが証明された形。今回構築するデータセンターが近い将来、“作って良かった”と言ってもらえるよう、最善を尽くしたい」とコメントした。

(左から)ソフトバンクテレコムの孫正義社長とKTの李錫采会長兼CEO

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