リコーがテレビ会議市場で真っ向勝負――OA機器最大手はなぜUC事業に参入するのか?

OA機器最大手のリコーがユニファイドコミュニケーション市場に参入する。独自コンセプトの新製品とクラウドサービス、そして強大な販売力を武器に、既存のテレビ会議/Web会議ベンダーに真っ向勝負を挑むという。

「既存市場をひっくり返す」

このポータブルタイプの新製品とクラウドサービスでリコーが狙うのは、「テレビ会議とWeb会議の中間にある潜在市場」だ。それを示したのが図表2・3である。

図表2 リコーが狙う新たな遠隔会議市場
図表2 リコーが狙う新たな遠隔会議市場

図表3 各遠隔会議システムとの違い
図表3 各遠隔会議システムとの違い

映像コミュニケーションが普及しているとはいえ、「テレビ会議室」を手軽に利用できるユーザーは限られている。また、Web会議はPCやアプリケーションの操作に一定の知識やスキルが求められる。利用の裾野を広げるには、もっと簡便に使えるインターフェースが必要というのは、他ならぬWeb会議ベンダー自身が常々口にする課題だ。

誰でも必要なときに、ミーティングスペースに集まってすぐに映像コミュニケーションができる――。そうしたレベルにまで敷居を下げるには、既存のテレビ会議もWeb会議もまだ不十分と言っていいだろう。

リコーが狙う“潜在市場”は、まさにこの領域だ。これまでPCスキルのあるユーザーが「ノートPC+Web会議」で実現していた利用シーンと言えばイメージしやすいだろう。

ポータブルタイプの価格については、1台当たり20万円台を目指したいという。テレビ会議はもちろん、Web会議と比べても十分に競争力のある水準だ。

「これを当社のグローバルな販売・サービス網を通じて一気にばらまく。テレビ会議とWeb会議の市場をひっくり返したい」

中村氏はそう自信を漲らせる。大手から中小、個人事業主まで数多の企業との間に取引口座を有し、営業マンとサービスマンが常に顧客企業の身近に寄り添う「販売のリコー」。その販売網は最大の強みだ。

UC市場において映像コミュニケーションは今最もホットな領域。リコーの参入で、その熱はさらに高まりそうだ。

月刊テレコミュニケーション2011年4月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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