狙いはコミュニケーション活性化
ビジョンメガネでは、このほか約10店舗で、iPadに同様のアプリを載せてサービスを行っている。西新井店でGALAXY Tabが好評だったのを受けて店舗数を拡張したのだ。
どちらの端末も使っている岩城氏に聞くと、画面サイズ以上に、カメラの有無が使い勝手に影響しているようだ。iPadの場合はデジタルカメラで撮影した顔写真を取り込むという一手間が加わるうえ、「デジカメを構えると仰々しいが、GALAXY Tabだと不思議に抵抗がない」という。
なお、GALAXY Tab上で試着できる商品数は、店頭展示品の約1割程度。選択項目が多すぎても使いにくくなる恐れがあるため、スタンダードなモデルと売れ筋商品を中心にフレームを登録しているという。新しいフレームのデータは、店内の無線LANを介して端末側のアプリに取り込んでいる。
岩城氏によれば、メガネ店の接客ではこれまで、カタログなどを見ながら商品を選ぶケースはほとんどなかったという。接客・販売現場で、紙のカタログをiPadに置き換える例は増えているが、ビジョンメガネの事例は「試着」という切り口と合わせて、メガネ業界ではまったく新しい取り組みとなる。“実物中心”の接客現場で、タブレット端末が販売ツールとして地歩を築いていけるか、注目だ。
ビジョンメガネ・営業企画部部長の富岡直子氏によれば、数年前にはWebサイト上でのネット販売で同様のバーチャルフィッティングを実施したが、思うような効果は得られなかったという。「今回は、お客様に楽しんでいただき、店頭でのコミュニケーションを活発にしたいという狙いでGALAXY TabとiPadを導入した」と同氏。現在、店舗スタッフからのヒアリングをしている最中だが、「狙い通りの効果が出ている」と手応えをつかんだ様子だ。
業務システムとの連携進める
今後は、導入店舗数を拡大するとともに、在庫管理システムとの連動も計画している。店頭在庫がない商品をバーチャルに試着し、そのまま画面上で他店舗の在庫から商品取り寄せの指示を出すこともできるようになる。
また、年齢や視力、購入履歴などの顧客データ管理システムと連携した使い道も考えられる。
現在は、手書きした用紙を元にPCでデータを入力し、リピート客の対応時はそれを紙に出力しているが、タブレットから直接入力し、また接客時に参照することができれば、業務効率化にもつながる。岩城氏も「Webサイトで会員登録されているお客様のデータとつながれば面白い。ご希望の商品がそれで分かれば、すぐに適した商品をお薦めできる」とアイデアを膨らませている。