企業向け「Android au」の実力やいかに? ~ 法人スマートフォン市場でも巻き返すKDDI

スマートフォンでの出遅れを取り戻す――。法人市場でもそのための準備を急ぐKDDI。導入の障害となるセキュリティ対策と管理負荷の課題を解消するための取り組みを着々と進めている。

安全な“厳選アプリ”を配信

端末のセキュリティ対策と管理だけでなく、アプリの導入においても課題は多い。すでに十数万のアプリが登録されているAndroidマーケットから、安全かつ自社に最適な業務アプリを選ぶことは、至難の技だ。

この解決策としてKDDIは“アプリ点検”に取り組む。KDDIが選定した業務用アプリについて、情報セキュリティソリューションサービスを提供するラックが、その安全性を評価。Webサイト「BusinessApp NAVI」で紹介する。Windows Phoneや、BREW上で動作する.NET by auの業務用アプリに加え、1月末からAndroid向けの掲載を開始した。

言うまでもなく、スマートフォンは有益な業務アプリと組み合わさって初めて魅力が生まれる。マーケットから配信されるアプリに比べてリスクが軽減できるSaaSも充実してきているが、スマートフォンの優れたUIはブラウザでは生かしきれない。優秀なアプリこそが、スマートフォンの価値をさらに高める。ラックとの取り組みは、有力なアプリパートナーを呼び込み、「Android au」の差別化を図るうえでも重要だ。

渡邉氏は、このように端末・アプリのセキュリティと管理の課題解決に着手したうえで、「次のステップとして、その間をつなぐネットワークも含めて、PCと同様にスマートフォンをセキュアに活用できる環境作りを進めていく」と語る。

現在、KDDIには既存の顧客企業からもスマートフォン活用に関する相談が多く寄せられているという。スマートフォン活用法の入り口としては、メールやグループウェアの利用などが真っ先に思い浮かぶが、ソリューション事業企画本部サービス企画部長の菅雅道氏は、「特定の業務の課題を解決するモバイルソリューションの導入が、スマートフォンで大きく広がる」と予測する。

スマートフォンは、従来PCが担ってきた業務の課題を解決するものとしての期待が大きいが、KDDIではフィーチャーフォンでも実績を積み重ねてきた「業務特化型のソリューション提案にスマートフォンでも注力していく」考えだ。Androidスマートフォンは、携帯電話とPCの中間領域、そしてPCの置き換え市場を開拓する強力な武器といえる。田中孝司社長も就任時に強調した“スマートフォンでの出遅れを巻き返す”ための準備は、着々と進んでいるようだ。

月刊テレコミュニケーション2011年3月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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