【ガートナー田崎氏に聞く!(後編)】クラウド時代の企業ネットワーク構築の落とし穴とは?

ユーザー企業は、スマートフォン/タブレット、クラウド、ビデオなどICTの新潮流に、どう戦略的に取り組んでいけばいいのか。ガートナー ジャパン バイス プレジデントの田崎堅志氏に全2回にわたり聞く。後編は、これからのコミュニケーションインフラとネットワークインフラの在り方がテーマだ。

企業コミュニケーションはUC as a Serviceの時代へ

――かつて企業コミュニケーションのツールというと、電話、FAX、電子メールぐらいに限られていましたが、現在ではWeb会議や社内SNSなど非常に多様化しています。また、オンプレミス以外にクラウドという選択肢もあります。これからのコミュニケーションインフラをどう構築していけばいいのか、多くのユーザー企業が悩んでいると聞きますが、どうお考えですか。

田崎 非常に難しい問題ですね。電話やテレビ会議などは広い意味でユニファイドコミュニケーション(UC)の1コンポーネントと捉えられますが、現在の技術ではこれらすべてが連携するインフラを実現できます。しかし、最初から大仰に全部統合しようと考える必要はないと思います。例えば、まずはWeb会議だけを使っていくという形でいいのではないでしょうか。ただその一方で、次々と新しいコミュニケーションツールを導入していくと、結局、何も連携できないという事態も起こり得ます。ですから、連携・統合するうえでの技術的課題なども考慮しながら選択していくというのが、今の時点での答えだと思います。

その意味では、オンプレミスではなく、クラウドサービスのほうが、コストの点でも技術的なリスクの点でも無理がないといえます。ガートナーではUC as a Serviceという言い方もしていますが、サービス型が選ばれる傾向は今後さらに強まっていくでしょう。

――Skypeについては、どう見ていますか。最近、アバイアやKDDIとも提携しましたし、企業での利用も着実に増えているようです。

田崎 スカイプには依然いろいろなリスクがありますが、それを理解したうえであれば十分使えるというのが現在のガートナーの見解です。

――以前の見解とは変わったのですか。

田崎 ええ、以前は「よほどのことがないかぎり、スカイプは利用すべきではない」という言い方をしていましたから変わりました。もちろん今でもスカイプの仕組みそのものはオープンになっておらず、何か問題があったとき、どのような対応がなされるのか分からないなどのリスクがあります。ただ、そうした前提を踏まえたうえであれば、メリットがあるところで積極的に利用していいと考えています。

田崎堅志(たざき・けんし)氏

ガートナー ジャパン リサーチ部門 テクノロジ&サービス・プロバイダー バイス プレジデント

1991年よりデータクエスト ジャパン (現ガートナー ジャパン) にてデータ・ネットワーキングやボイス・コミュニケーション、パブリック・ネットワーク、モバイル・コミュニケーション、通信事業者のデータセンター・ビジネスなど、テレコミュニケーション産業全般にわたる動向分析ならびにマーケティング・コンサルティングに従事。
ガートナー ジャパン入社以前は、富士通にて通信処理マルチマイクロプロセッサ、ネットワーク・アーキテクチャ、高速パケット通信システムの研究開発、ネットワーク・システムおよびネットワーク・ソフトウェア製品の企画開発、プロジェクト・マネジメントを担当。高速光LAN、TDM、ネットワーク・サービス・プロセッサなど企業向け通信システム製品のハードウェアおよびソフトウェアを商品化。
IEEE Communications SocietyおよびComputer Society会員。電子工学修士。上智大学卒。

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