トリマティスは2022年8月から、水中での光無線技術を活用した「underXwater」事業を開始する。
同社は 海中を代表とする水中環境を1つのLocal Area Network (LAN) と位置付け、技術開発や市場創出に取り組むALANコンソーシアムの代表をつとめており、かねてから水中における光無線通信やLiDAR技術を用いた取り組みを行っていた。
「underXwaterのXは“いろいろ”という意味。水中の様々な事業及び、水中以外の幅広い領域にも将来的には進出したいという思いを込めた」とトリマティス代表取締役CEO 島田雄史氏は語った。
ALANコンソーシアム代表 トリマティス代表取締役CEO 島田雄史氏
トリマティスの強みは(1)超高速・海中光無線通信、(2)水中環境に特化したLiDARなどの技術である。そして今回、新型ドローン「ECO-Adaptive Underwater Drone:Eco AUD、エコエーユーディ」を開発したことにより、新規事業に踏み切った形だ。Eco AUDについて「あらゆる外乱に対応し、安定的に動く。つまりあらゆる環境に適応する作業性重視のドローンだ」と島田氏は紹介した。
新型水中ドローンEco AUDのイメージ
under X water事業ではEco AUDを活用したサービスをいくつか予定している。例えばLiDARをToFセンサーとして使うことで、水中の構造物の3Dデータをスキャンすることが可能だ。
光通信用のLED照明を搭載したEco AUDを組み合わせてLi-Fi(光無線)エリアを水中に構築する構想もあるという。これにより、複数の地点から得られたデータを地上で共有。上記のLiDARやカメラと組み合わせれば、橋脚の傷や劣化などのデータを取得するインフラモニタリングが可能になる。
Li-Fiのイメージ
また、「システムの調整は必要だが、養殖管理場や生け簀などにLiDARやカメラをいれて、魚や貝、海藻の生育状況をモニターできる」という。そのほかには水質調査や、災害時に海底に沈んだ流木やがれきなどの調査も可能だとした。
underXwater事業のイメージ
「8月中にはより詳しいビジネスプランを発表し、資金を集めていきたい。コロナ禍でさまざまなことがあったが、ようやくデータなども集め終わった。これからは技術の社会実装を加速させていきたい」と島田氏は意気込んだ。