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<特集>6Gと未来

6G最新動向「日本案を世界標準へ」

文◎村上麻里子(編集部) 2022.06.15

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2030年の実用化に向けて、世界各国で6Gの研究開発が進んでいる。要求条件の検討や標準化の開始を前に、主導権を握るべく、成果を競い合うことになりそうだ。

 
3月18日、「Beyond 5G 推進コンソーシアム」第3回総会が開催され、その席上、「Beyond 5Gホワイトペーパー1.0版~2030年代へのメッセージ~」が公表された。

産官学連携による6Gを推進する中核組織である同コンソーシアムのホワイトペーパーは、6Gの国際標準化に向けた日本案のベースとなるものだ。

6Gの要求条件には、高速大容量・低遅延・多数同時接続という5G の特徴的な機能のさらなる高度化と、超低消費電力や自律性、超高信頼といった新たな要素の2つの方向性がある。6Gはあらゆる産業や社会を支える基盤としての役割を担うと想定されることから、ホワイトペーパーでは金融や自動車、医療など様々な業界の関係者に広く意見を募り、ユースケースごとに6G の要求条件をまとめている。

例えば、遠隔手術では数十Gbps超のスループット、物流施設の完全自動運転にはローカルネットワーク内でミリ秒オーダーの低遅延、体内デバイスの場合は1キロ平方メートル当たり数百万~数千万個の多接続など、ユースケースごとのKPIを明確化しているのが特徴だ。

日本はこのホワイトペーパーをアップデートしたうえで、6月に開催される「ITU-R WP5D」会合において、6Gの日本案としてインプットすることを目指している。WP5D(Working Party 5D)は、移動通信システムの国際標準に関する検討を所掌するITU-Rの作業部会だ(図表1)。

 

図表1 6Gに向けたロードマップ
図表1 6Gに向けたロードマップ


万博を6Gの「ショーケース」に 5Gで諸外国の後塵を拝した日本は、その反省から、6Gに向けて早い段階から国を挙げて取り組んできた。

総務省は2020年1月、「Beyond 5G推進戦略懇談会」を立ち上げ、そこでの検討内容を基に、同年6月に「Beyond 5G推進戦略 - 6Gへのロードマップ -」を策定した(図表2)。

 

図表2 「Beyond 5G推進戦略」ロードマップ(概要)
図表2 「Beyond 5G推進戦略」ロードマップ(概要)


それから1年半余り。この3月には、Beyond 5G 推進戦略の進捗状況と今後の取り組みをまとめた「Beyond 5G推進戦略 プログレスレポート2021」が総務省から公表された。

戦略を立てておしまいではなく、毎年進捗を振り返り、必要であれば改定も行い、時代に合ったより良いものにしていきたいという。

Beyond 5G推進戦略は、これまで通信事業者やベンダーが別個に進めてきた研究開発と知財・標準化、事業展開を三位一体で進めることで、巻き返しを図ろうとするものだ。特に2021年から最初の5年間を「勝負」の期間と位置付けており、スタートダッシュで世界の先頭集団に入ることを目指している。

なかでも各国がすでに取り組みを活発化させている研究開発については、2025年までに要素技術の確立を目標として掲げる。

目標達成のために総務省は「Beyond 5G研究開発促進事業」を実施しており、令和2年度(2020年度)第3次補正予算で約500億円が割り当てられた。これを受けて、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)に公募型研究開発のための基金(300億円)を創設するとともに、テストベッドなどの共用施設・設備を整備している。

Beyond 5G研究開発促進事業には、さらに令和3年度の補正予算で200億円、同4年度の当初予算案で100億円が計上される。「総務省の従来の予算規模から言ってもかなりの額になる。『今回は負けるわけにはいかない』と相当力が入っていることが分かる」とNICT Beyond5G研究開発推進ユニット ユニット長の寳迫巌氏は語る。

NICTでは、機能実現型や国際共同研究型、シーズ創出型といった研究開発プログラムごとに公募を行い、専門家による評価委員会の評価を経て、実施者を決定している。現在、44件のプロジェクトが順次動き始めているところだ。特にハイレベルな研究開発成果の創出を目標とした基幹課題は6件あり、次世代エッジクラウドコンピューティングやテラヘルツ波、電波・光融合無線通信などをテーマにしている。

「2030 年に予定されている6G実用化に向けて、成果が出たものから順次、知財・標準化に反映していきたい」とNICT オープンイノベーション推進本部 総合プロデュースオフィス オフィス長の沼田文彦氏は述べる。2025年に開催される大阪・関西万博を1つのターゲットとしており、「ショーケース」として研究開発の成果や6Gで実現する将来像を世界にアピールしたい考えだ。
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