山地での通信や、災害時に普段使うネットワークが止まった時、頼りになるのが衛星通信だ。エーティコミュニケーションズのブースではiDirect社の衛星通信システムを使ったソリューションが大きく2種類、展示されている。
1つは可搬型のアンテナだ。大中小3種類のアンテナを揃えているが、「いずれも持ち運び可能」(現地説明員)。特に一番小さい「Satcube(サットキューブ)」はPCほどの大きさで重さ8Kgで、充電ができない場所でもポータブル電源1つで3-4時間稼働する。速度はおよそ5-15Mbpsで、現地説明員によると「受信時のアンテナ利得は大きい方が安定するが、通信速度はほとんど変わらない」
エーティーコミュニケーションズの可搬型アンテナ3種。左端が最軽量のSatcube(サットキューブ)だ
同社は、スカパーJSATと協業でSatcubeを用いたIP映像伝送サービス「Sat-Q」も提供している。スカパーJSATが免許人となりSatcubeをVSAT局として一括登録・管理することで、通常は必要とされる無線従事者資格を不要で利用できる。Satcubeと、スマホなどのユーザー端末は有線LANや、Wi-Fiで接続できる。災害現場やイベント会場などでの利用が多いという。
SAT-Qの概要
もう1つのソリューションは、衛星中継車のカスタム提供だ。放送局や、消防などでは衛星通信が可能な自動車に需要があるが、一般車をベースに設備を導入するのは手間がかかる。「車のエンジンで発電する発電機、ポール、衛星アンテナなどが必要になるが、これらをカスタムに導入できるパッケージ。設計から施工まで請け負い販売する」(現地説明員)。無線免許の取得などもサポートする。
現地ではトヨタのハイエースが衛星中継車としてカスタマイズされた実物が展示されており、会場に訪れた人たちの注目を集めていた。注文後、およそ半年程度で導入できるという。